#10 新生活
父に連れられ、これから身を寄せる家にやって来た。
父からは「妻にはソウジが前妻との子供だと言ってあるが、娘たちには遠縁の親戚ということにしてある。話を合わせて欲しい」と事前に言われていた。
つまり、父とは同居はするが、あくまで母の性である「安藤ソウジ」としてで、父の性の「間宮」を名乗る必要が無いということだ。これには心底ホッとした。
父には今の奥さんとの間に二人の娘が居て、僕とは腹違いの妹だ。
初対面では「この二人が妹か」と思っただけで、それ以外は特に何も感じなかった。
父の現在の奥さんからは、初対面から目の
その態度は却って、助かった。
父の様に謝罪されても許す気になれないし、必要以上に関わらなくても済むんだと思えば、コチラとしてもストレスを減らせる分、気が楽だ。
許せない相手に許す言葉を言うのは、体験してみて初めて分かったが、相当なストレスを感じたからね。
間宮家に移り住んでからは、ひたすら勉強を続けた。
母の看病や葬儀などで学業が随分と遅れてしまった為、新学期が始まるまでに取り戻すことことだけをひたすら考えた。
そのお蔭で、新学期が始まっても問題なく授業についていくことが出来た。
食事に関しては、レトルトや冷凍食品ばかりだったけど、それでも食べられるだけマシだと思えたし、あの女の手料理なんてまっぴら御免だったので、これも却って助かった。
お風呂は、この家の人間が入った湯船に入る気にはなれなかったので、いつもシャワーだけで済ませた。
洗濯物も自分でするように言われたので、一緒に洗濯されずに済んで良かった。
学校では、上の妹であるアミと同じクラスだった。
学校ではアミの方から絡んでくることは無かったので、僕もそうした。
そしてアミから、僕と同居していることを知られたくないと聞き、僕も同じ気持ちだったので、この件に関しては協力した。
クラスも同じであるアミは、今後絡まざるをえない場合もあるだろうし、時には協力することも必要になることが予想されるので、友好的な態度で接するようにしていた。
学校生活の方では、勉強以外では生徒会役員に立候補した。
高校進学を見据えて、内申点を稼いでおきたかった為だ。
正直、生徒会活動には興味が無かったけど、部活をやるには経済的に厳しいと判断しての生徒会役員立候補だった。
担任やアミからは心配されたけど、ダメならダメでも良いかと気楽な気持ちで選挙に挑んだ。
演説では、持ち時間分喋るだけのネタが無かったので、歌って誤魔化した。
それが却って良かった様で、トップ当選した。
自分でもビックリした。
でも、これで受験へ向けてかなり気持ちに余裕が出来た。
あとは適当に生徒会活動に従事しつつ、勉強を続けて行けば、目標の第一歩である高校進学もきっと上手く行くだろう。
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