同棲生活 5日目

月曜日の朝

「起きて。ねえ、起きて……大二郎」


 朝、目を覚ますと可愛い声が俺を目覚めさせた。誰かと思えばリアだ。……ああ、そうだ昨晩はリアの部屋で寝落ちしたんだ。


「おはよう。今日は学校だっけ」

「おはよ。そうだよ~、もう時間だから起きて」

「お、おう……って、リアはもう制服に着替えているのかよ」

「うん。朝ごはんも作ったよ。食べてね」

「マジか。まるでお嫁さんだな」

「えへへ」


 照れるリアだが、よくよく考えれば俺が寝ているそばで着替えていた……!? そうだろうな、秋桜学園の制服だし。



 俺は顔を洗ったりして、ダイニングキッチンへ。テーブルの上には和風テイストの朝食が。白飯ごはん味噌汁みそしる、そして、さけ


「めっちゃ和風!」

「凄いでしょ。これでもお料理スキルある方なんだよ~」

「リアは、家事に洗濯、料理も出来るのかよ」


 申し訳ないと思いつつも最近、ほとんどをリアに任せていた。いかんな、こうテキパキされては俺の立場が……ありがたいけどね。

 俺も少しは貢献こうけんしないとな。リアばかりに負担は掛けられない。


「まだ時間は三十分はあるな。味わってそれから登校するか」

「一緒に食べよっか」


 さっそくはしをつけていく。

 まずは味噌汁……美味い。お店に匹敵するクオリティだぞ、これは。次はご飯は……完璧。ほどよく焼けている鮭を噛み締める――文句なしの塩梅あんばい


「シンプルだけど美味いなぁ。どうしてこんなに美味しいんだろう」

「大二郎の為に愛情を込めて作ったからね♡」

「それが秘密の味の正体か。納得」



 ◆



 朝食を済ませ、弁天駅へ。

 電車に揺られ舞阪駅。

 そこから徒歩数十分で『秋桜学園』と毎週の通学ルーチンをなぞっていく。そのはずだが、最近、舞阪駅前には風紀委員長『五乙女そうとめ あずさ』の姿があった。125ccバイクであるボルシティにまたがって待機しているのだ。


「おはよう、五乙女」

「おっはよ~。大二郎くんにリアちゃん」


 相変わらず学生とは思えない姿だな。


「おはよう、あずさちゃん。今日もバイク、かっこいいね」

「ありがとう、リアちゃん」


 リアも五乙女もきゃっきゃと挨拶を交わす。二人ともいつの間にか結構仲が良いな。


「五乙女、お前は舞阪に住んでいるのか。なんで毎朝、駅前で待機しているんだよ?」


「そ、舞阪に実家があるよ。駅にいる理由? もちろん、大二郎くんとリアちゃんに会う為よ~。ついでだし、顔見たいじゃん」


「そうなのか」

「ごめん、半分は本当。半分は嘘」

「なんだそりゃ」


「本当の事を言うと、ボルシティの慣らし運転で朝早くドライブしているんだ。しばらくは走らせないといけないの」


「そうか。まあいいや、遅刻するし俺たちは行く」

「うん、じゃあねえ!」


 吹かして先に行ってしまう五乙女。

 いいなぁ、移動が楽そうで。相変わらず颯爽さっそうと行ってしまう姿がカッコイイ。


 ぼうっと五乙女の後姿を追っていると、リアが前に来て視界をさまたげる。


「大二郎、行こっか」

「お、おう」


 あれ……なんか妙な表情。

 もしかしてリアのヤツ、ちょっといてる?

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