同棲生活、継続
親父にキスを見られた。
「…………」
俺とリアはキスしたまま硬直。
親父も魔法にでも掛かってしまったかのように石化。この空間だけ完全に時が止まっていた。
「……大二郎、お前……」
「待ってくれ、親父! キ、キスくらい海外なら挨拶だろ!」
「そうは見えなかったがな。明らかに愛を感じた」
「あ、愛って! リア、お前からも弁明を……」
だめだ。リアは顔を真っ赤にしてしまっている。これは終わったな……。
「そうか、それが二人の仲か。……よく分かった、先方には“何もなかった”そう伝えておく。達者でな、大二郎、リディアちゃん」
親父はサムズアップして決めると、背を向けて去った。何、カッコつけてんだか……いや、だけど助かったのか。
……親父、ありがとう。
「心臓が止まるかと思った」
リアは、へにゃへにゃと腰を抜かす。
俺も
「リア、まだこの生活は続けられそうだな」
「良かったぁ……。大二郎と離れ離れになるとか信じられないし、わたし、離れたくないよ。ずっと一緒だよ?」
「ああ、何としてでもこの生活は維持してやるさ」
腰を抜かしているリアを立たせ、ぎゅっと抱く。
「大二郎……ありがとね」
「俺の方こそ」
◆
親父が帰ってから数時間後。
時は午後十三時。
昼飯を『ウーハーイーツ』の出前で済ませ、モシバーガーを堪能。マクトナルトも好きだけど、モシは本格的な味付けで美味いな。
「ウーハーイーツって初めて使ったけど、凄い便利だよね。持ってきてくれるし」
リアは、初めて利用する出前宅配サービスに感激していた。
「ロシアではないのか?」
「モスクワにもフードデリバリーはあるよ。でも、利用した事はなかったなあ」
「そうか。というか、リアはモスクワ出身だったのかよ」
「ううん、出身は『オイミャコン』みたい。子供の頃だから覚えてないけど」
オイミャコンと言えば、世界一寒いと呼ばれている極寒地域。厳冬の村とも呼ばれ、マイナス50度は当たり前の冬らしい。そんな村の出身だったのか。
「へぇ、それは意外だな」
「うん、あまりに寒くて直ぐに引っ越しちゃったみたい。だから、モスクワに住んでいた期間の方が圧倒的に長かったよ」
そうだろうな。スマホで軽く画像検索してみたが、顔面が凍り付いているロシア人の写真があった。見ているだけで寒い。
「美味い飯を食いながら、リアの事が知れて嬉しいよ」
「うん、わたしも大二郎の事を知りたいなあ」
「構わんよ。でも、せっかくの日曜日だし、どこか出掛けるか」
「いいね! 昨日はボートレースだったし、次は何処にする?」
「そうだな~」
選択肢は数多い。
徒歩で近所でも良いし、交通機関を使って遠征でもいいし……う~ん。
うん、
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