特産品を作ろう!パートⅡ⑤
「では、次にジーゲさんがきた際に、ポーション瓶を依頼すればいいんですね」
「うん。ミーリア。悪いんだけど、お願いできる?」
「お安い御用ですよ」
キーリは結局ポーション瓶をジーゲさん経由で買うことにした。
スイがキーリのマネをして支援魔術をお願いしてきたことが結構堪えたのだろう。
スイやリノの前ではキーリはお姉さんぶってるからな。
ちょうど夕食ができたところだったので、夕食を食べる前にミーリアにポーション瓶の購入をお願いしてみた。
ジーゲさんとの交渉はミーリアにやってもらっている。
どうやら色々なしきたりみたいなものがあるらしく、それを知らない俺やアリアはいない方がいいらしい。
アリアなんかは表情で何を考えてるか丸わかりだしな。
「お金は足りそうか?」
「はい。金銭的には全く問題ありませんよ」
ミーリアはにっこりと微笑む。
ミーリアがそういうのであれば大丈夫だろう。
無理をしているようにも見えないし。
前に調味料とかもかなり注文してたみたいだしな。
その辺の贅沢品は金銭に余裕がないと頼まないだろう。
たとえ金銭的に困窮していたとしても美味しい料理を作るためのものであれば俺は全力で支援するけどな。
俺の収納の中に入ってるものを売ればこの村の数年分の生活費くらいは余裕で出せるだろ。
「この村はずっと黒字です。魔の森の近くの開拓村で赤字を出す方が難しいと思いますが」
「まあ、そうだろうな」
今日畑を見たらすでに収穫できそうなものもあった。
あのスピードで作物が育つのであれば、それは赤字にする方が難しいだろう。
「それに、材料は魔の森からとってきて、キーリが加工して売っているので。レインも、欲しいものがあれば言っていただいて大丈夫ですよ」
「そうか? ……いや。俺はこの村の儲けに全然関わってないからいいよ」
よく考えると俺はこの村の儲けに関わっていない。
農業もやっていない。
アリアがメインで、最近はスイが水やりなんかで大活躍している。
森で採集もやっていない。
人の方がずっとうまいから見てるだけだ。
特産品にも関わっていない。
アイデアを考えるのはミーリアだし、デザインはリノ。製作はキーリだけ。
生活面でも、料理なんかは手伝えないので任せっきりだ。
俺が触ると食材が爆発する。
……あれ?
そう考えると俺ってただのヒモじゃね?
「……手伝えなくてごめん」
「何をいっているんですか。村に攻めてきた魔物はレインが倒してますし、私たちの作業もいつも手伝ってくれているじゃないですか」
「そうよ。それに私たちに修行をつけてくれてるのはレインじゃない」
「今の、私たちがいるのは、レインの、おかげ」
「……ありがとう」
三人は口々に俺を上げてくれる。
三人の気持ちはとても嬉しい。
だけど、修行が自分たちだけでもできる様になったら本当に俺はいらない子になりそうだな。
俺がやっていることなんて、来年にはみんなできる様になっている気がする。
魔力量は俺の方が圧倒的に多いけど、休憩しながらゆっくりやれば五人でも十分にできる様になるだろう。
俺も、総魔力量が100を超えたあたりからは母さんと別れて一人で修業していた。
それに、リノの索敵能力なんかも考えると、万能型に育った俺より、特化型の彼女たちの方が得意分野の能力は高くなりそうだし。
昔お世話になった人としてお荷物になるのは少し嫌だ。
本格的にみんなの役に立つ方法を考えておかないといけないかもしれないな。
「そういえば、レインは古代魔術師文明時代の本が欲しいとおっしゃってませんでしたか?」
「え? あぁ。でも、なくても大丈夫だぞ? すごく高いだろうし」
ジルおじさんは伝を使ってかなり安く仕入れていた。
没落貴族の出物とか財政の傾いた商人のインテリアとかだな。
だから、手に入らないときは半年くらい手に入らないこともあった。
普通に買えば金貨数枚では全然足りないだろう。
それに読み飛ばしていた部分も結構あったから昔読んだ分も今読み返している。
俺が読んだ本の読み飛ばしてた知識をキーリやミーリアが有効活用しているところを見ていると、ちゃんと読まなきゃって気分になってくる。
「……少々高いかもしれませんが、お願いしましょう。私ももっと読んでみたいので」
「私も、もっと、読みたい」
「……二人がそういうならお願いしようかな」
スイとミーリアは俺に気を使ってくれたんだと思う。
俺の持っている本で彼女たちがまだ読んでる途中の本は結構あるし、寝る前とかは彼女たちは王都で流行りの小説とかの方が好んで読んでいることは知っている。
でも、ここまで言ってくれているのだからお願いしようと思う。
それと同時に、みんなの役に立ちたいという気落ちがより強まった。
流石にヒモはいやだ。
俺はみんなの役に立つ方法を今まで以上に真剣に考え始めた。
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