新しいエリアに行ってみよう!①
「よーし。じゃあ、探索を始めるぞー」
「「「「「了解」」」」」
今日は新しいエリアに来ていた。
まあ、ここのエリアも前のエリアと一緒で見た目は全然変わらない。
魔の森の浅い部分では大体森型のフィールドで狼とか鹿とかそういった普通にいる動物型の魔物が多いらしい。
俺は生まれたころからかなり切り開かれた魔の森で修業していたから、初めて行ったのは溶岩地帯だったりしたんだが、そんな場所に行くのはかなり先だろう。
外から見たら森なのに中に入ったら溶岩地帯とか一体どういうことになっているのかいまだに謎だ。
森を切り開いたら普通の場所になったしな。
「今日は戦闘しないのよね?」
「あぁ。今日は探索だけだよ。リノも、魔物を見つけたら即行で戻ってきてくれよ?」
「わかった!」
リノは森の中に消える。
まあ、ブラックウルフ(仮)はグレイウルフとスピード的にはそこまで差がないから大丈夫だろ。
「じゃあ、俺たちも行こうか」
「「「「了解」」」」
俺はアリアたちを連れて薄い膜のようにも見える魔力濃度が切り替わる部分を越えた。
***
「ん?」
「? レイン。どうかした?」
「いや、大したことじゃないんだが……」
さっきからずっとリノの様子をうかがっているが、様子がおかしい。
いつもは俺たちの周りを衛星のようにくるくると回って索敵してくれているのに、今日は
楕円を描くかのように一方向への索敵範囲が広いし、その方向に索敵している時間も長い。
「ちょっと聞いてみるか。ちょっとここで待っててくれ。リノを捕まえてくるから」
「わかったわ。……できるだけ近くにいてね」
「当然だよ。リノのいるところまで行くだけだからな。一秒で戻ってこれないほど遠くには行かない」
「……ありがとう」
アリアは不安そうにしながらも俺のことを送り出してくれる。
魔の森で俺が近くにいなくなるのは怖いけど、リノのことも気になるのだろう。
まあ、今日ブラックウルフと出会うことはまずないと思うが。
これは五人には言っていないことだが、俺が気配を消していないとウルフ系の魔物は襲ってこない。
おそらく、ウルフ系の魔物は気配の感知に秀でているんだろう。
ここにきてすぐのころに攻めてきたブラックウルフ(大)も偶然ではなく俺が村からいなくなったタイミングを見計らって攻撃してきたのだと思う。
いや、ウルフ系の魔物なんて前の場所ではほとんど戦わなかったからそんな特性があるなんてここに来て初めて知ったよ。
対魔貴族の時戦ったのはワニとか熊とか象とか強そうな魔物ばっかりだったからな―。
まあ、そんなこともあって、今日は気配を全く消していないのでブラックウルフに出会うことはないと思う。
今日の気配の消し方ならリノの索敵範囲に間抜けなやつが引っかかるかどうか位だろう。
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
「気を付けてね」
「おぉ~」
俺はリノのいる方へと全力で駆けだした。
***
「で、どうしてあんなことしてたんだ?」
「……」
俺がリノを捕まえた後、俺たちは一度森の外に出てきていた。
俺が捕まえに行くとリノは少しだけ俺から逃げようとした。
どうやら、訳が有ってあんないびつな索敵をしていたようだ。
それで俺がリノのところに駆けつけたから怒られると思って逃げようとしたのだろう。
リノは俺が捕まえてから借りてきた猫のように縮こまっている。
逃げるかもしれないと思って小脇に抱えてきたのが失敗だったのかもしれない。
別にちゃんと訳を話してくれるなら怒るつもりはない。
誰もリノが意味もなく行動するとは思っていない。
いつも元気に駆け回っているから誤解されがちだが、リノはスイと同じくらい賢い子なのだ。
できるだけ責めるふうにならないように机に全員が座ってリノに質問するが、リノは答えてくれない。
「リノ。黙ってたらわからないでしょ?」
「……」
「はぁ。当分魔の森の奥への探索はやめるか?」
「!!」
リノは驚いたように顔を上げる。
「ど、どうして?」
「リノが危ないことするようなら、探索は控えたほうがいいだろ。勝手なことをする仲間を連れて危険な所には行けない」
リノは再び顔を伏せる。
ミーリアはリノの頭を優しくなでる
「リノがいたずらで危ないことをしたとはだれも思ってません。どうしてそうしようと思ったのか。私たちに教えてくれませんか?」
「……遺跡を。探そうと思って」
リノは恐る恐るそう呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます