第110話 離宮
せっかくのお誘いを利用しない手はないと早速翌日に訪れた離宮は王城から二キロ程西に移動した場所にあった。
高い塀に囲まれた一角の内側は王都とは思えないような豊かな緑が生い茂り、ちょっとした規模の公園のようだった。
以前は姉二人が王城内に居を構えているのに対して王位継承の目が薄かったニケ王自身が居所として使っていたそうだ。
敷地には中心となる離宮の建物の他に宿舎、練兵場といった施設が整備されており二・三百人程度は優に暮らせそうな設備が整っているそうだ。
その隔離された環境を上手く使って
当然、出入りの管理は厳重で正門には
身に着けた鎧はリシャールで見た
衛士の先導で美しく手入れが行き届いた庭の中の長い通路の先に佇む瀟洒な建物に案内され、そのまま玄関の傍にある客間へと通された。
出されたお茶を飲みながら二十分程も経った頃、昨日会ったばかりの銀髪の女性が現れた。
「お待たせしてすいません。暫くここを空けていたので雑務が溜まってしまっていて」
「いえ、こちらこそすいません。お忙しい所にお邪魔して」
「とんでもない。早速寄って頂いて歓迎します。なにしろあの戦いについての感想を聞ける貴重な機会ですから。リュートさんはあの戦を見てどうでした?」
「それは驚きましたよ。
「恥ずかしい話ですが私達にもどうしてできるのかは分からないんです。ですからただ気付いたら出来るようになっていたとしか説明のしようがなんです。私達の村では威力の差こそあれ多くの人が使っていた力ですから陛下がいらっしゃるまでは特別な事だとは思いもしなかったんですよ」
聖域の周辺にある他の
長い年月をかけて力のない者は淘汰され力ある者の血統は濃く深くなった結果なのだろう。
聖素も魔素もその概念すらない現状では力の理由が分かるはずはない。いや分かる必要が無かったのだ。持たざる者は絶え、持つ者だけが残る。ただその結果だけしか意味を持たなかったのだから。
ここまではサジの推測とほぼ一致する。そうなると後は…
「貴女の身体に興味があります。俺に
「なっ……」『バッチ〜ン』
驚いたのか一瞬止まったと思ったら目にも留まらぬスピードの平手打ちが俺の左頬に炸裂した。
全く見えなかったぞ。これが
違う違う、何でこうなった?
訳が分からずマリダに視線を送るとこちらに冷ややかな視線を浴びせながら一言。
「重大なハラスメント発言です。当然の帰結でしょう」
「あっ」
ここでようやく自分の発言が与えた誤解について思い至った。
「多少は真面と考えた私が間違いでした。所詮は男。伽の事しか頭にないのね!」
オデッサはさっきまでの友好的な雰囲気などどこ吹く風と真っ赤な顔でお冠だ。
「いや、そういう意味じゃなくて純粋に他の人との違いを調べたいという事で、決して疚しい意味で言った訳じゃありません。言葉が足りなかった。ごめんなさい」
ホントだよ?
勘違いなんだよ〜〜〜。
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