祭 〜ゆきちゃんと夏〜



「おう……」



「どうしたんですか?」



「見て、テレビ。京都でちょうど大きなお祭りやってるんだって」



「ああ、あの有名なお祭りですね。一回くらいは行ってみたいです」



「ね。でも見て、すごい人だよ」



「ほんとですね。動くのも大変そうです」



「でも、楽しそうだなー。こういう的屋さんが並ぶようなお祭りって夏くらいにしかやらないもんね」



「ぬぬぬ」



「どうしたの? そんなにテレビ凝視して」



「いないな、と思いまして」



「いないって? 誰が?」



「ふんどしを締めてる人が」



「いないよ」


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