ジューンブライド 〜ゆきちゃんと……〜



「侑希さん。もう六月も半分すぎましたね」



「うん、そうだけど。また、季節がすぎるのは早いですねとか、雨が多いですねとか、そんな話?」



「いえ。その、六月って英語でなんていうかわかりますか?」



「Juneでしょ。さすがに月の名前くらいはわかるよ」



「そうです、ジューンです。じゃあ、花嫁って英語でなんていうかわかりますか?」



「花嫁? えーっと、あ」



「どうしたんですか?」



「ごめんっ! 急用を思い出した!」



「ちょっと、侑希さん!? 待ってください!」



「いやぁ、早く行かないと……」



「行かせませんよ! 今日は何もないって言ってたじゃないですか! ほら、質問に答えてください」



「僕英語は得意じゃなくて、はは……」



「五月って英語でなんていうかわかりますか?」



「五月? はは、わからないなー」



「うそです! さっき月は余裕だよみたいなこと言ってましたよ。本当は花嫁もわかるんですよね?」



「はは……」



「もう六月も半分まで待ったんですよ。その、あんまりこういうこと言うのもあれなんですけど……。と、いうか」



「?」



「苗字です! いつまで侑希さんの苗字は不明なんですか!? 弓槻ゆづきさんも夢葵ゆめきさんも教えてくれないし……」



「いや、それは僕に言われても……」


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