気温 〜ゆきちゃんと春なのに〜



「侑希さん、なんか最近また寒いですよね」



「そうだね。この前なんて風が強すぎて、家から出たくなかったからな。こんな時期にコート着るとは思ってなかったよ」



「あれですか? 理科の授業でやったなんとか前線となんとか前線が交わってどうこう、みたいなやつの所為せいでしょうか?」



「とりあえず、今の台詞でゆきちゃんが理科の先生ではないことはわかったよ。僕も詳しくは知らないけど。春なのにこんなに寒いこともあるんだね」



「それが私が生まれた年はもっと寒かったみたいですよ」



「へー、ってことは僕が生まれた年でもあるのか。何かあったの?」



「四月なのに雪が降ったそうです」



「ふーん。そんなこともあるんだね」



「24年前の四月二日に雪が降って……、それで私はゆきって名前をもらったんです」



「あ、それでゆきちゃんなのか」



「はい。他にも幸せの漢字もゆきと読めるので、私はゆきって名前とても好きなんですよね」


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