ゆきちゃんと帰省編 その五
「うーん。なんだか雪斗が冷たいです」
「中二でしょ。だったら、そんな時期だよ」
「せっかく雪斗と会えるの楽しみにしてたのに……」
「だから、そういう時期なんだって。絡んでくるのなんて鬱陶しいだけだよ」
「そうなんですか……。いっぱい話したいことあったんですけど……」
「気持ちはわかるけどやめておいた方がいいかもしれないね。さらに嫌われちゃうから」
「さらにってことは、もうすでに嫌われてるってことですか……?」
「ああ、ごめん、そういうことじゃなくて。そんなことはないと思うよ。ただ、あんまりかまってほしくない時期なんだって。ほら、ゆきちゃんにもあったでしょ。お父さんのこと鬱陶しく感じる時期とか」
「私はそんなことなかったですけど、確かに、自分のお父さんが嫌って言ってる友だちはいっぱいいました。それと同じ感じですか……?」
「そうだね」
「うーん。……寂しいです。侑希さん。なんとかならないでしょうか?」
「ゆきちゃんの気持ちはわかるから協力してあげたいけど、雪斗君の気持ちもわかるんだよね。だから、僕から雪斗君に何か言う、みたいなことはできないかな……。ごめんね」
「いえ、大丈夫です。小さい頃はほんとにかわいかったのに……。おねーちゃん、あれしてこれして、って、雪斗の方から来てくれてたんですよ。あまりにもかわいすぎて、テスト勉強そっちのけで雪斗と遊んでて、一回すごい点数とっちゃったこともありました」
「あー。十才も離れてるとそうなるのかもね。特にゆきちゃんって、弟大好きって感じだからね」
「ねぇちゃんと結婚するって言ってくれてたんですよ。それなのに、離れろよって言われちゃいました……」
「うーん。確かに何かしてあげたいけど、こればっかりはなぁ……」
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