さむ 〜ゆきちゃんと極寒のオアシス〜



「うー、さむ。ゆきちゃん、おじゃまするね」



「あ、侑希ゆうきさん。いらっしゃいませ」



「え!? こ、こたつじゃん!!」



「えへへ。あったかいですよ。入りますか?」



「いいんですか!?」



「どうぞ」



「はぁ。気持ちいい。生き返るね」



「やっぱり冬はこたつに限りますね」



「一人暮らしでこたつって珍しくない? 贅沢だなぁ」



「ニュージーランド育ちの私は寒い地域に慣れていないので必須ですね」



「君ニュージーランド出身じゃないでしょ。北海道だっけ?」



「やめてください。北海道説が有力なだけで決まったわけじゃないです」



「君の地元だよね? なんで他人事なの?」



「そうしないとまたおケツを掘りかねないので」



「墓穴ね。二回目だよ。まぁいいや。でもこんなこたつなんてあったらもう出られなくなっちゃわない?」



「ほんとにその通りなんです。こたつにはブラックホールでもあるんでしょうか?」



「こたつとベットは地球上に存在するブラックホールだからね。まぁ、それでも朝起きてから入らなきゃ日常生活には支障が出ないと思うけど」



「でも私朝起きてからまっすぐこたつに入っちゃうんです」



「それだとベットから出た意味なくない?」



「こたつがあるからベットから出られるんだと思います」



「それでこたつから出られなきゃ意味ないと思うけど」



「そうですね。いっそのこと全部オンライン授業にして欲しいくらいです」



「こたつで授業はダメでしょ。受ける側じゃないんだし」



「こたつのせいで何回教頭先生に怒られたかわかりません」



「ほんとにゆきちゃん心配だよ。まぁ、こたつに入りながら言うことじゃないか」



「もう四回くらいジャムつけてます」



「パン咥えて出勤するのやめなって」


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