待ち時間にて 〜ゆきちゃんと行列〜



「わー。すごい人ですね」



「そうだね。ここのプリンいつも行列できてるからね」



「食べたいって言ったの私なので先に帰っててもらっても大丈夫ですよ」



「いやいや、そんなことしないよ。一緒に並ぼうか」



「ありがとうございます。前のハロウィン限定の時もすごかったですけど、クリスマスシーズンも人気ですね」



「まぁ、クリスマスシーズンだからね。並んでるのスーツ着た若いお父さんかカップルくらいだし」



「お父さんはお子さんのために並んでいるんでしょうか。素敵なパパですね」



「あー、揚げ出し茄子うめぇ」



「ちょっと侑希ゆうきさん! いきなりなんの話ですか!」



「はっ! 僕は一体……」 



「頭の中に浮かんでたライトアップされた綺麗な街並みが一瞬でお味噌汁の茄子に書き換えられましたよ!」



「ほんとにごめん。確かに最近ほっこり系の話やってないから、そろそろやらないとだね」



「今それができそうな感じだったじゃないですか! いいパパだねって私が言って、僕もそうなれるようにがんばるよ、で終われましたよね。何が揚げ出し茄子ですか」



「だっておいしかったんだもん」



「子どもの言いわけですか! せっかくいい雰囲気だったのに」



「寒い日に食べる味噌汁って最高なの知らない?」



「知ってますそんなこと! 今言う必要なかったじゃないですか」



「あ、もう僕たちの番だ。ほら、楽しくしゃべってたら行列なんてすぐでしょ。一緒に帰ってプリン食べようか」



「いい話っぽく終わらないでください」


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