推しキャラ 〜ゆきちゃんとゲーム〜



「どうしたの? ゆきちゃん元気ないように見えるけど」



「その、実は私の推しキャラがやられちゃったんです」



「あー。それは悲しいね。僕も推しが退場した時は二日くらい立ち直れなかったな」



「はい。パーティーメンバーが一人」



「パーティーメンバー? ちょっと前に流行ってたゲームの世界みたいな異世界系のアニメでも見てたの?」



「いえ、ゲームです」



「ゲームのストーリーで推しキャラがやられちゃったのか」



「いえ、ストーリーじゃないです」



「?」



「HPがなくなっちゃたんです」



「HPがなくなると復活できないとか?」



「いえ、アイテムで復活できます」



「??」



「だから今は蘇生できてるんですけど」



「それそんなに落ち込む必要なくない? 二度と出てこないわけじゃないんだし」



「旅立ちの村からずっと一緒に戦ってきて、強敵だった大魔術師もがんばって倒したのに……、主人公の最高のパートナーだったんです。それなのに、ドラゴン城の一階の下級サキュバスに色じかけでやられるなんて、こんなのないですよ! 彼は優しかったんです。女性には特に。だから、女性姿の魔物には耐性が低くて」



「しょうもないやられ方だね」



「なんてこと言うんですか!」


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