第五百八十二話 高橋悠里は転送の間でユリエルとクレムからのメッセージを確認して返信する
ユリエルとクレムからマリー宛てにメッセージが来ている。
少し前に一斉送信メッセージが届きまくっていたバージルからは、何のメッセージも無い。
ワールドクエスト『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』はどうなったのだろう?
悠里はサポートAIに尋ねようと口を開いたが、言葉を呑み込む。
サポートAIがゲームのネタバレに厳しいことはわかっているから、聞いても無駄だという気持ちになったのだ。
悠里はバージルの無事と健闘を祈りつつ、ユリエルからのメッセージを表示させた。
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マリーちゃん。俺はゲームにログインしたよ。
ワールドクエスト『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』がまだクエスト未達成みたいだから領主館で過ごすことにするよ。
あと、マリーちゃんに聞かれた塩のこと、領主のお父様や侍女長のグラディス、料理長にも尋ねてみるね。
情報収集ができたらメッセージを送るね。
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ユリエルからのメッセージを読み終えた悠里は、彼が安全な領主館に留まってくれることを知ってほっとした。
ワールドクエスト『ヘヴン島の女王 ヘヴン島の覇権をめぐる攻防』のキーパーソンであるNPCの『モイラ・レッドモンド』はプレイヤーの主人公を殺害できる錬金武器『聖人殺しの短剣』を所持していると情報屋から教えてもらったので、近づかない方がユリエルやマリーが殺害されるリスクが低くなると思う。
それに、領主館の厨房のように塩や砂糖等の調味料を揃えられるようになったら『銀のうさぎ亭』で薄味メシマズの料理を出さずに済む。
塩や砂糖、香辛料等が効いたおいしい料理を出せるようになったら嬉しい。
そうしたらきっと、マリーの固有クエスト『塩を安価に、庶民の手に!!』のクエスト達成にも近づく気がする。
悠里はユリエルに『ユリエル様。メッセージありがとうございます。塩のこと、情報収集よろしくお願いします』と書いたメッセージを送信した後、クレムからのメッセージを確認することにした。
悠里はクレムのメッセージを表示させ、内容に目を通す。
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マリーと真珠の万年筆、完成したぜっ。
渡したいから、ゲームにログインしたら連絡くれよな。
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「クレム、私……マリーと真珠の万年筆、作ってくれたんだ。嬉しいっ。返信しよう」
悠里はクレムへのメッセージを書き始める。
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今、ゲームにログインしたよ。
万年筆、作ってくれてありがとう。
クレムの都合がいい時に教会で待ち合わせしたいと思うんだけど、いい?
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悠里はクレムへの返信を記載して送信した。
そろそろゲームを始めよう。
「じゃあ、私、ゲームをプレイしますね」
「それでは、素敵なゲームライフをお送りください」
サポートAIの声に送られ、悠里は鏡の中に入っていった。
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