アルカディアオンライン【高橋悠里 中学一年生・一学期終了編】
第五百八十話 高橋悠里はお風呂を済ませて髪を乾かし、自室に戻って要からのメッセージを読み、彼が作ったカレーの写真を見て感動した後に返信してからログイン
第五百八十話 高橋悠里はお風呂を済ませて髪を乾かし、自室に戻って要からのメッセージを読み、彼が作ったカレーの写真を見て感動した後に返信してからログイン
お風呂から上がった悠里はパジャマを来て、洗面所で髪を乾かし、トイレに入って自室に向かう。
階段を上がりながら、悠里は要からのメッセージが来ているか確認するためにスマホを見ようと思った。
「今夜は要先輩とは『アルカディアオンライン』で会えないかなあ」
要とは今日、学校で会ってデートもしたけれど『アルカディアオンライン』の中でも会いたい。
だけど、要にも予定やゲームをプレイしたくない気分の時もあるだろうから、無理強いはできない……。
自室に戻った悠里はスマホを手にして、画面を見た。
「あっ。要先輩からメッセージが来てる……!!」
要が作ったカレーの写真が送られてきたのかもしれない。
悠里はわくわくしながら、要からのメッセージを確認する。
♦
悠里ちゃん。メッセージ送るの遅くなってごめん。
後片づけとかしてたら、いつの間にか時間経ってて……。
食器洗いとか、いつも全部母親に任せてたんだけど、時間かかるんだね。知らなかった。
作ったカレーの画像を送るね。
ひとりで初めて作ったカレーだけど、結構おいしくできたと思う。
明日は、残ったカレーでカレーパンを作ろうと思ってるよ。
レシピ検索したら、割と簡単にできそうだったから。
これから『アルカディアオンライン』をプレイするから、もし時間が合えば、マリーちゃんと一緒に遊びたいです。
ゲーム内でもメッセージを送るね。
♦
悠里は要からのメッセージを二度読み返した後、彼が送ってくれた写真画像を表示させた。
「うわあ。おいしそう……!! ランチョンマット敷いてて可愛い!! お高い洋食レストランで出てきそうなカレーだ……!!」
カレーの色味は黒が強く、肉は牛肉だろうかと悠里は想像する。
牛肉の他はにんじんとマッシュルームが入っているが、悠里はマッシュルームを『丸いもの』としか認識できなかった。
高橋家のカレーにも給食のカレーにも、マッシュルームが入っていたことが無いのだ……。
「要先輩すごい。ひとりで初めてカレー作って、しかも後片づけまでするなんて尊敬する……」
悠里は平日の晩ご飯の後と、休日に三食食べた後、自分の分の食器を洗うだけでうんざりしているのに。
「要先輩、もう『アルカディアオンライン』にログインしてるかもだけど、返信を書こう」
悠里はそう呟いて、要への返信を書き始めた。
♦
要先輩。カレーの写真、ありがとうございます!
ランチョンマットひいてて可愛いです!!
カレーすごくおいしそうです……!!
要先輩が明日作るカレーパンもすごく気になります。
もしよかったら、カレーパンの写真を見せてもらえるとすごく嬉しいです。
無理そうだったらスルーしてください。
私もこれから『アルカディアオンライン』をプレイするつもりです。
ユリエル様とゲーム内で会えたら嬉しいなあと思います。
♦
悠里は要に返信をして、スマホをベッドの枕元に置いた。
ゲーム機とヘッドギアの電源を入れてヘッドギアをつけた。
ベッドに横になり、目を閉じる。
「『アルカディアオンライン』を開始します」
サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。
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