第五百七十九話 マリー・エドワーズと真珠は夜遊びをして母親に怒られた後、真珠に『クリーン』をかけてログアウトする



教会に死に戻ったマリーと真珠は『銀のうさぎ亭』に帰った直後に母親に夜遊びをしていたことを怒られて項垂れ、とぼとぼと段差の大きい階段を上がってベッドのある部屋に向かう。


「真珠。お母さんに怒られて、悲しいね……」


「きゅうん……」


マリーと真珠は落ち込みながらベッドのある部屋に入る。

部屋の中には誰もいなくて、マリーと真珠はほっとして息を吐いた。

マリーの母親に怒られたばかりで、マリーの父親からも怒られるのは悲しすぎる……。

マリーは真珠に視線を向けて口を開いた。


「真珠。ベッドに仰向けに寝てね。足に『クリーン』をかけて綺麗にするからね」


「わんっ」


真珠は足を綺麗にして寝られることが嬉しくて尻尾を振る。

マリーは真珠を抱っこしてベッドに歩み寄り、真珠を仰向けに寝かせて『クリーン』を発動させ、真珠の足を綺麗にした。

今回は魔力枯渇にはならず、真珠の足を綺麗にできてマリーはほっとした。

なぜノーマが使った木のコップに『クリーン』を発動させた時、魔力枯渇になってしまったのか未だに理由がわからない……。


マリーは考えても答えが出ないことはいったん置いておくことにして、ベッドに腰かけ『疾風のブーツ』を脱いで左腕の腕輪に触れさせてアイテムボックスに収納した。

そして先にベッドに寝転がっている真珠の隣に横たわり、真珠をぎゅっと抱きしめて目を合わせ、微笑みあう。


「じゃあ、またね。おやすみ。真珠」


「わうわう。わうー」


真珠と挨拶を交わしたマリーは口を開いた。


「ログアウト」


マリーの意識は暗転した。


悠里はベッドの上で目を開けた。

どうやら無事にログアウトできたようだ。


「お風呂入ろう」


悠里はそう呟いて、横たわっていたベッドから起き上がり、ヘッドギアを外して電源を切る。

それからゲーム機の電源を切った。

ヘッドギアとゲームをつなぐコードはそのままにしておく。

悠里は大きく伸びをして、パジャマを持って自室を出た。


お風呂に入るために一階に下りた悠里は、スーツ姿で洗面所で手洗いうがいをしている父親と行き会う。


「お父さん。お帰り。お仕事おつかれさま」


着替えのパジャマを胸に抱いて言う悠里に、うがいをした口を自分用のタオルで拭き終えた父親が笑顔を向ける。


「ただいま、悠里。まだ起きてたのか。今からお風呂か?」


「うん。あのね。お父さん。冷蔵庫に正方形の箱に入ったすごくおいしいマカダミアナッツのチョコレートが入ってるから、お母さんと一緒に食べてね。でも全部食べたら怒るからね」


「わかった」


父親はそう言って洗面所を出て行った。



***


マリー・エドワーズのスキル経験値が上昇


クリーン レベル1(10/100)→クリーン レベル1(20/100)


風月13日 夜(5時45分)=5月21日 21:45



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