第四百六十話 マリー・エドワーズとユリエルは真珠が王冠を三つ揃える瞬間を見届けて、ユリエルは100枚のヘヴンズコインを回収する
マリーは真珠が選んだスロットマシーンの前でステータス画面を呼び出した。
それからアイテムボックスに収納した皮袋を取り出し、皮袋からヘヴンズコインを1枚取り出して、皮袋を左腕の腕輪に触れさせてアイテムボックスに収納する。
そして、マリーは手にしたヘヴンズコイン1枚をコイン投入口に入れた。
スロットが回り出す。
真珠は身軽にスロットマシーンの前に置かれた椅子に飛び乗ったが、丸いボタンに右の前足が届かない……!!
「ぎゃうんっ!!」
真珠は悲しくて目に涙を浮かべる。
「真珠。私が真珠を抱っこしてあげるっ。そうしたらきっと真珠の手が届くよ……っ」
「わうー!! わんっ!!」
真珠はマリーに椅子に座ってもらうために椅子から飛び下り、マリーは椅子によじ登って座った。
「真珠。おいで!!」
「わんっ!!」
真珠はマリーの膝の上に飛び乗る。
そして意気揚々とスロットマシーンのボタンを……押せない!!
あとちょっと、届かない……っ!!
「うう、ううう……っ!!」
真珠は頑張って右の前足を伸ばす……!!
「真珠くん。俺も手伝うよ」
ユリエルはスロットマシーンのボタンを押そうとしている真珠を抱っこしてスロットマシーンに近づけた。
真珠の右の前足がスロットマシーンのボタンに届いた!!
真珠はスロットマシーンのボタンを押せる……!!
「わうわう!! わうううう!!」
真珠は青い目を輝かせて自分を抱っこしてくれているユリエルを見つめて言った。
ユリエルは真珠に微笑み、口を開く。
「どういたしまして」
マリーは最初から真珠をユリエルに抱っこしてもらえばよかったと思いながら、真珠とユリエルを見つめた。
真珠は回転するスロットを真剣な眼差しを向ける。
真珠は『おうかん』を出したい!!
スロットは回る、回る、回る……ここだ!!
真珠は右の前足でスロットマシーンのボタンを押した。
一番左端のスロットが止まる。
『おうかん』が出た……!!
「わおんっ!! わんわんっ!!」
真珠は狙い通りに王冠を出せて大喜びした。
だがマリーとユリエルには真珠の喜びは伝わらない。
ただ左端のスロットの絵が表示されただけなので、マリーとユリエルは騒ぐことなく画面を見ている。
「真珠。ここからが勝負だよっ。王冠の絵を狙うんだよ」
真珠はマリーに肯き、回転するスロットを真剣に見つめる。
真珠の目は回転するスロットの王冠の絵を捉えた!!
真珠は狙いすまして右の前足でスロットマシーンのボタンを押す。
真ん中のスロットが止まった。
『おうかん』が出た……!!
王冠の絵が二つ揃ったのを見てマリーとユリエルが歓声をあげる。
真珠も嬉しくなったが、でも、あと一つ『おうかん』を出さなければいけない。
「真珠。頑張れ……っ」
「真珠くん。落ち着いて狙って」
マリーとユリエルがそれぞれに真珠を応援する。
真珠は回転するスロットから目を離さずに肯き『おうかん』を狙う……!!
スロットは回る、回る、回る……ここだ!!
真珠は右の前足でスロットマシーンのボタンを押した。
一番右端のスロットが……止まる。
出た絵柄は……『おうかん』だ!!
「わうわん、わうっ!! わおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!」
真珠は嬉しくて吠えた。
スロットマシーンのコイン受け取り口には音を立ててヘヴンズコインが流れ出る。
スロットマシーンのコーナーにいた数人の客が何事かと視線をさ迷わせた。
「真珠!! すごい!! 真珠はスロットの天才だよ……!!」
マリーは手放しで真珠を褒め称えた。
賢くてラッキーな真珠を自慢したくてたまらない。
うちのテイムモンスターは世界一だ……!!
「真珠くん。おめでとう。すごいね」
ユリエルはそう言ってから、大喜びするマリーの膝に真珠を乗せ、スロットマシーンの横に重ねられているケージを手に取り、ヘヴンズコインを手早くケージに入れた。
マリーと真珠はスロットの画面に三つ揃った王冠の絵を見て大喜びしている。
真珠が王冠を三つ揃えたスロットマシーンの周囲に人が集まり始めたその時、ヘヴンズコインの回収を終えたユリエルがコインが入ったケージを両手で持って立ち上がった。
マリーはそこでようやくユリエル一人にコインの回収を任せてしまっていたことに気づいた。
***
紫月27日 真夜中(6時47分)=5月17日 22:47
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