第四百二十話 マリー・エドワーズと真珠はユリエルとパーティーを組み、下船する
マリーと真珠は仲良くラブリーチェリーを食べ終え、ベッドに寝転がってくすぐり合いをして遊んでいると、扉の外から大勢の足音と話し声が聞こえてきた。
マリーはベッドから勢いよく起き上がり、口を開く。
「ユリエル様が帰ってきたのかも……っ!!」
「わうわう!!」
「真珠。様子を見に行こうっ」
「わんっ」
マリーと真珠はベッドを下りて船室の外に出た。
船室の外ではユリエルとレーン卿が立ち話をしていた。
ユリエルとレーン卿から少し離れたところで、護衛騎士たちが周囲を警戒している。
マギーとアーシャのレーン卿を巡る恋のバトルは一時停戦しているようで、マギーとアーシャは仲良くお喋りをしている。
真珠はいつもの優しいマギーとアーシャの姿を見てほっとした。
マリーがユリエルとレーン卿の話の邪魔をしてはいけないと思いながら立ち尽くしていると、ユリエルがマリーと真珠に視線を向けて微笑んだ。
「マリーちゃん。真珠くん。起きたんだね」
「ユリエル様っ。おはようございます……っ」
「わうわうっ。わうわぅ……っ」
マリーと真珠はユリエルに微笑んでもらえたことが嬉しくて、ユリエルの側に駆け寄る。
レーン卿はユリエルに会えて嬉しそうなマリーと真珠を微笑ましく思いながら口を開いた。
「攫われていた孤児たちは無事に船に到着して、今、食堂で食事をしています。食事の後は船室で休んでもらう予定です。孤児たちが一段落したらこの船は出航しますが、ユリエルとマリーさん、真珠くんは『ヘヴン島』で楽しく遊んでくださいね。聖人は『しにもどり』という奇跡の御業を使っていつでも教会で復活できるのが本当に羨ましいです……。私も『しにもどり』が使えたら船に乗らずに済んだのに……」
レーン卿はそう言いながらため息を吐いた。
レーン卿……。めちゃくちゃ船酔いしたのに船で帰らなければいけないなんて可哀想……。
胃がひっくり返ると思うほどのすさまじい船の揺れを体験したマリーと真珠はレーン卿に心から同情した。
でも、レーン卿に掛ける言葉が見つからない……。
ユリエルはレーン卿を涙目で見つめているマリーと真珠の頭を撫でて微笑み、口を開く。
「帰りは魔術師たちに風魔法でブーストを掛けて貰わないから、行きほど、船は揺れないと思うよ。たぶん」
ユリエルの言葉に安心したマリーと真珠は、レーン卿が船酔いをしないかもしれないと思いながら微笑む。
マギーとアーシャは「看病イベントは発生しなさそう……?」という話をしている。
マギーとアーシャの会話を小耳に挟んだ悠里は、女主人公が具合が悪くなるか、攻略対象が具合が悪くなるというのは友好度が上がる恋愛イベントになる可能性が高いということに思い至る。
乙女ゲームプレイヤーとして、攻略対象の友好度が上がる系のイベントは見逃せないよね。頑張って。
悠里は心の中でマギーとアーシャを応援した。
ユリエルはマリーと真珠を見つめて口を開く。
「じゃあ、船を下りて街に入ろうか。遊ぶところがたくさんあるみたいだから、いろいろ回ってみよう」
「はいっ」
「わんっ」
ユリエルの言葉にマリーと真珠は肯き、そしてユリエルをリーダーとしたパーティーを組んで下船した。
***
紫月23日 早朝(1時24分)=5月16日 17:24
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