第四百五話 マリー・エドワーズと真珠はバージルと情報屋のフレンド登録を見守り、情報屋をリーダーにパーティーを組む
マリーと真珠、情報屋は情報屋の『ルーム』を出て、情報屋は管理者権限で『ルーム』をロックした。
そしてマリーたちは階段に乗る。
誰よりも先に階段に乗った真珠はマリーと情報屋が階段に乗ったことを確認して、勇ましく吠えた。
「わうう、わんっ!!」
階段が上に向かって動き出す。
マリーは誇らしげにマリーを見上げる真珠の頭を撫でて褒め称えた後、ユリエルからのメッセージを確認した。
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マリーちゃん。メッセージをありがとう。
お父様に確認したら今すぐ動かせる船は一艘だけらしいけど、十人までなら乗っていいと言われたよ。
これから馬車で教会に、マリーちゃんたちを迎えに行くね。
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マリーはユリエルからのメッセージを読み終え、嬉しくてまた読み返した後に『私のフレンドと教会で合流した後、皆で教会で待ってます』とメッセージを記載して送信した。
フローラ・カフェ港町アヴィラ支店を出たマリーたちは、プレイヤーが死に戻って蘇生する魔方陣が設置された復活の間で、マリーのフレンドのバージルを探す。
「マリー!! 真珠!!」
野太い声がマリーと真珠を呼んだ。
バージルだ。相変わらず筋肉がすごい。……筋肉が増えてる?
バージルは太マッチョの道を突き進んでいるようだ。
マリーと真珠に駆け寄ってくるバージルに、マリーは笑顔を向けて口を開く。
「バージルさんっ。私と真珠を見つけてくれてありがとう」
「わんわんっ」
「こっちこそ、無理な頼みを聞いてくれてありがとうな。そっちにいるのが情報屋か?」
ぶしつけな物言いをするバージルに気を悪くする様子もなく、情報屋は穏やかに微笑む。
「はじめまして。デヴィット・ミラーです。情報屋のロールプレイをしています。以後、お気軽に『情報屋』とお呼びください」
情報屋の自己紹介を受けてバージルは笑顔になり、口を開く。
「俺はバージル・トムソン。『アルカディアオンライン』で一攫千金を目指す男だが、今はゲームでもリアルでも金欠だ。だから情報を売って金を作りたい」
「バージルさんっ。情報屋さんにフレンド登録をお願いしてくださいっ」
マリーはバージルの自己紹介の後に早口で言う。
バージルには困っていた時に助けてもらった恩があるので今回は情報屋との連絡役を頑張ったが、毎回、バージルと情報屋の橋渡しをするのは無理だし嫌だ。
バージルはマリーの言葉に肯き、口を開いた。
「おう。そうだな。じゃあ、フレンド登録してくれるか? 情報屋」
バージルはそう言って左腕の腕輪を差し出す。
「ええ。構いませんよ。顧客が増えるのは大歓迎です」
情報屋はそう言いながら自分の腕輪をバージルの腕輪に触れさせた。
マリーと真珠はバージルと情報屋のフレンド登録を見守る。
「マリーさん。真珠くん。お待たせしました」
「フレンド登録、終わったぜ」
情報屋とバージルがマリーと真珠に声を掛け、そして一同は教会の入り口に向かった。
バージルが教会の扉を開けると、外は雨が降っている。
まだ領主館からの馬車は到着していないようだ。
「外で馬車を待ちたいけど、雨が降ってるから濡れちゃうね」
雨を見やりながら言うマリーに視線を向けて、情報屋が口を開いた。
「パーティーを組んでいただければ私が『ウィンドウォール・キューブ』を使いますよ」
「それは無料で使ってくれるということでしょうかっ!?」
「わうー……」
お金に困っていないのに節約を考えて発言してしまうマリーに、真珠が憐みを込めた目を向ける。
情報屋はマリーに視線を向けて口を開いた。
「ええ。パーティーを組んでもらえるなら無料で『ウィンドウォール・キューブ』を使います。スキルのレベル上げにもなるので」
「私と真珠、情報屋さんとパーティーを組みますっ」
「わんわんっ」
マリーと真珠がそう言った後、バージルが口を開く。
「なんだかよくわからねえけど、俺もパーティーを組むぜ」
そういえば、バージルにはマリーたちがこれから何をするのか全く説明していなかった。
だが大雑把……おおらかな性格のバージルは全く気にしていないようだ。
情報屋がパーティーリーダーとなり、マリーとバージルがパーティーメンバーとなった。
マリーは自分を見上げる真珠の頭を優しく撫でて微笑み、口を開いた。
「最近パーティーを組んで行動することが多くて楽しいね。真珠」
「わうわうわ。わうー」
いまだに種族レベル3のマリーと真珠の初心者感溢れる感想を聞いた情報屋とバージルは嬉しそうなマリーと真珠を微笑ましく見守った。
***
紫月22日 夕方(4時06分)=5月16日 14:06
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