第二百三十八話 マリー・エドワーズとイヴはアーシャにお菓子を届けに行く



マリーが考えながらユリエルに送ったメッセージの内容は『了解です。モンスター討伐、頑張ってくださいね』という短い文章だった。

それでもすごく緊張しながら返信したので、マリーは疲労した。

マリーがメッセージの送信を終えたようだと判断したイヴは話しかけてもいいだろうと思って口を開く。


「マリー。アーシャ、なんて言ってた?」


「えっ? アーシャさん?」


イヴに問いかけられたマリーが首を傾げたその時、可愛らしいハープの音が鳴った。

マリーはフレンド機能で受信したメッセージを確認する。

受信したメッセージの送り主は、アーシャだった。

マリーはアーシャからのメッセージ内容を確認する。





お菓子持ってきてくれるの!? マリーちゃんはやっぱりウチの女神……!!

ウチの前にまだ結構並んでるから、今お菓子を持ってきてくれたらすごく嬉しいよっ。

待ってるね!!





マリーはアーシャからのメッセージを読み終えて画面を消し、イヴに視線を向けた。


「アーシャさん、お菓子を持ってきてほしいって」


「そっか。じゃあ行こう。クレムは……ここで食べてるよね」


イヴの言葉に、口の中にお菓子を詰め込んで頬を膨らませたクレムは二度、首を縦に振る。


「クレム。私のグラスをテーブルに置いてもらってもいい?」


イヴの両手はお菓子を盛った皿で塞がれているので、マリーはクレムに小首をかしげてお願いする。

クレムはお菓子を咀嚼しながら、マリーに自分の右手を差し出した。

マリーはクレムに自分のグラスを手渡して微笑む。


「ありがとう。クレム」


クレムは口をもぐもぐ動かしながらマリーのグラスをテーブルに置き、左手の親指をグッと立てて肯く。


「マリー。アーシャにお菓子を届けに行こう」


「うん。クレム。私たち、アーシャさんのところに行ってくるね」


クレムはマリーとイヴに手を振り、口の中の菓子を飲み込む。

そして彼は再び皿の上の菓子をがさっとつかんで自分の口の中に放り込んだ。


***


若葉月25日 夜(5時43分)=5月9日 21:43



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る