第407話 誰もが練習しただろう?
「確か作中ではこんな感じでやっていたはず」
ドゥラゲンボールで操空術を学ぶ際は、座禅を組んで体内の気を感じ取る修行から始めていたはずだ。
実際俺も小さなころは空を飛ぶことに憧れて、その練習法をよくやっていた。全く結果を出すことは出来なかったけど。
これはドゥラゲンボールを見ていた子供は誰しもが経験していることだと思う。空を自由に飛ぶことへの憧れは皆持っているからな。
俺は早速広いダンジョンである森林ダンジョンに移動して練習を始める。
座禅を組んで体内の気を完全に把握して、自由自在に体の特定の部分に集めたり、移動させたりして感覚をつかむ。すでに気に関してはある程度自分の意志で操ることが出来るようになっているが、更にスムーズに動かせるようにひたすらに鍛錬を行った。
『"真・気功"の熟練度が限界に達しました。"真・気功"が"神・気功"へと進化しました』
最近は中々聞こえることが少なくなったアナの声が頭の中に流れる。
するとどうだろうか。さらに気の扱いがスムーズになり、その上、扱い方が分かるようになってきた。
「なるほど。そうすればいいのか……」
俺は急に悟ったように感じた気の使い方試す。
ふわり。
座禅をした状態のまま、地面に接している感覚が消えた。
「おお!!浮いてる!!」
瞑っていた目を開けると、確かに俺の体は地面から離れて浮かんでいる。体の下に手を通すと、数十センチ程浮遊していた。
まさか本当に出来るとは……。
俺は完全に唯の思い付きだったんだけど、ここまで上手くいくとは思っていなかった。それなのに、その日のうちに空に浮けるようになれるとは、本当に運が良い。
「よし、完全に飛行できるようになるまで訓練するぞ!!おー!!」
これなら空飛ぶモンスターにも自分だけで対抗できるようになる。
俺はただ浮かんでいるだけ、と言う状態からもっと高くに行けるように意識して気のコントロールを行うと、ゆっくりではあるが、上に上がっていく。
横に移動するように意識すると、横に動けるようになる。
斜め、下、なども含めて色々試してみると、すぐに自由に動けるようになった。
「よし、後はスピードだな」
気の扱い方はもうほとんど完璧に分かるようになったので、気を後方に噴き出すような感覚を追加する。
―ゴォオオオオオオオオオオッ
「のわぁあああああああああああ!?」
そしたら噴き出し過ぎたらしく、俺は凄まじい勢いですっ飛ぶ。気づけば階層の端っこまで来ていて、壁にぶつかりそうになった。
「止まれぇええええええええええ!!」
俺は先程と同じ要領で逆噴射する形でイメージすると、徐々にスピードが落ちてギリギリというところで壁に激突せずに済んだ。
「あぶねぇ……」
俺は壁に激突しなかったことに安堵する。
「もう少し慎重に練習しよう」
俺は急に噴き出し過ぎたと反省して、気の放出をもう少し弱めて少しずつ少しずつ放出量を増やしていった。
「ひゃっほー!!これでバッチリだ!!ひゃっほー!!」
それから数十分ほどで俺は完全に気のコントロールを把握して空を自由自在に空を飛べるようになった。
これで俺だけでモンスターの殲滅に向かえる。
次は気の実体化と一定の場所への固定だ。これにより、壁のように扱うことが出来る。
「大丈夫だな」
すでに空を飛ぶ練習をしている中で気の扱いは完全に理解していた。俺は手を前に突き出して目を瞑って力を籠め、自分の前に壁が露わ得るように意識する。
「お、いけたか?」
俺は手ごたえを感じたので、目をゆっくりと開いた。
「おおおおおお!!これが気の壁か」
そこには半透明な壁が目の前に出来上がっていた。
つんつん。
俺はその壁を指でつついてみる。
「ちゃんと触れるな」
次は殴ってみた。
―ガンッ
俺の拳を受け止め鈍い音を響かせる。ちゃんと防御力も兼ね備えているらしい。
「よっと」
今度は下に展開してとび乗ってみる。
そして今度はその壁を動かせないかとイメージしてみると、壁に乗ったまま空を駆けることが出来るようになった。
「おお、まるでキントーンに乗っているみたいだ」
脚注に出てくる雲型の乗り物で、心の清らかな物しか乗れないが、これは俺の気なので、乗せたいやつ、拒絶したい奴、そういうのも自由自在に設定できるらしい。
これなら敵の攻撃は防ぎつつ、こっちの攻撃は通すなどということも出来そうだ。
滅茶苦茶反則だよな。
「モンスター相手に試してみよう」
これまでと違い、戦闘にも使えそうなので、俺はモンスター囲んでみたり、壁を圧縮してみたり、薄くのばして切り裂いてみたりと様々な使い方を模索してみた。
最終的にパンチでははじけ飛ばしてしまうモンスターも少しだけ原型を残して倒すことが出来るようになった。
使い道があるかは分からないが、今日一日で今まで以上に気を扱えるようになったことは間違いない。
実践までやったので、これで空のモンスターへの対処と、足場の問題は解決しただろう。
今度は本気で気の一撃を打ち込んでみよう。
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