探り

 今、何が起こった?

 何かを軽く踏みつけた瞬間、ガラスが割れたような音が響いた。


「さて、それじゃあ本題に入ろうか」

「本題?」

「あぁ、魔法学院対抗戦の件についてだ……」


 対抗戦の件という事は今回の暴走事件だろう。


「何が聞きたい?」

「クゥについてだ」


 クゥについてという事は、関係者だろう。

 っという事は、今回の件で二人は何も知らないことになる。


「クゥについてだと?」


 ナオトさんはそう言うと、眉を顰める。

 僕の時もそうだが、彼はハクと偽名を名乗っている。

 その名前を知っているという事は、関係者だろう。


「今回、奴の行った全て……奴の手下の事について説明してほしい」

「お前達は何者だ?」

「僕か? 僕の名前は……そうだな、ガウラと名乗っておこうか」

「私は……」

「彼女の名前はダリア……しがない剣術家だ」

「なんでいうのかしら」

「とにかく、おとなしく教えてくれると痛めつけなくて済むんだけど?」


 その言葉の後、静寂に包まれる。

 それはそうだ、今の言葉はまるで一方的と言わんばかりの言い方だったからだ。

 しかし、その静寂は再び切られる。

 再びラートが目の前にいて、拘束されていた。


「もうその行動は見切ってるよ」

「舐めないで!!」

 

 瞬間、彼女を拘束していた鎖が、先程のローブの女性と同じく塵と化していた。


 

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