異空間
ミリスが逃亡し、探すのを諦め帰宅していようとするとクレアとその両親が歩いていた。
僕の視線に気が付いたのか、ナオトさんがこちらを見る。
一瞬見ただけで気づくなんて、超能力者か何かか?
それとも、誰かが未来視の祝福でも持っているのだろうか。
クレアは振り向くと、僕の方に歩いてくる。
「やほ、元気?」
「うん、元気」
「今って一人?」
「うん、そうだけど」
「そっか、行きたいところあるんだけどついて来てくれない?」
「それは構いませんけど」
「んじゃ、これを持ってついて来て」
そう言うと、彼女はを取り出す。
翠の背景に白の花が咲いたネックレスを渡してくる。
「これは目的地につくまで無くしちゃ駄目だからつけておいて」
無くしていけないとはどういう事かはわからなかったが、クレアの真剣な顔に頷いてしまった。
「じゃあ、ついて来て」
ネックレスをつけると、彼女の両親と合流する。
そして無言のまま歩き出す。
歩き出していくと、道が少しづつ変わっていることに気が付いた。
フィオレスので見たことのある道やアルスの道、他にも見たことのない道を歩いていた。
まるで道をランダムにすっ飛ばしていっているような感覚だった。
「見すぎるな、感覚を失って迷うぞ」
そう言われたので、彼らを見ながらまっすぐ歩きだす。
しばらく歩いていくと、黒い空間が目に入る。
三人はその空間に入っていき、僕もそれに続いた。
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