髪飾り

「全く、ああいうの本当に嫌い」


 歩きながら不機嫌そうな顔でそういう彼女は先程の笑顔とは違い、心底嫌そうな顔で言い放った。

 もしかしたら、道を聞きたかった……そんなわけないよな。

 それならば、彼女だけでなく僕にも目が向けられるはずだ。

 しかし、男は彼女しか眼中にない感じだった。

 きっと、頼りない奴に見えたのだろう。


「あと、なんで助けてくれなかったの?」

 

 その言葉の意味が解らなかった。

 明らかに彼女の方が強いのに、助ける必要があったのだろうか?


「ミリスの方が断然強いじゃないですか」


 僕の言葉に頬を膨らまして不満そうな顔でこちらを見てくる。

 先程の男というより、僕に怒っているようだった。


「……ミリス?」

「何?」

「怒ってる?」

「怒ってない」


 どう見ても怒ってるようにしか見えなかった。

 何か気に障る事でも言ったのだろうか?

 雰囲気が険悪なまま僕らは進んでいく。


 あれは……。

 周りを観察するように見ていると、右側の出店の白い花の模様の髪飾りが目に留まった。

 ミリスに似合うだろうなと思った。

 

「これください」

「はいよ」


 そうして料金を払っていると、ミリスが見当たらない。

 怒って僕に気が付かず、先に行ってしまったようだ。

 僕はミリスを追いかけた。






ーーーーーーーーーーー

作者追記


更新遅くなり、申し訳ありません

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