ミリスの弟

 彼女の弟は依然聞いた話だと、彼女を庇って亡くなったと聞いたような気がする。


「なんていうかさ、あの時私に出来ればって思っちゃうんだよ……薬や回復魔法が出来ていれば、あの子は死ななかったんじゃないかって」


 彼女は弟の事を引きずっている。

 彼女の自信の目標はなく、弟の後悔の上からのある種の強迫観念みたいなもののように思えた。

 だが、これに関しては僕が口を出せる事ではない。

 僕は当事者ではないのだから。


「辛気臭い話はこれで終わり……さぁ、まだまだ巡るよ!!」


 そう言って彼女は僕の手を引く。


「まだ食べ終わっていませんよ」

「いいじゃん、食べ歩きもデートの醍醐味よ」


 そう言って食べながら歩いていく。

 食べ終えると、また違う出店で注文する。

 それを何回も繰り返していくと、流石に僕の胃が限界を迎えた。


「大丈夫?」


 胃が限界を迎え、少し休憩することにした。

 ミリスは未だにパクパクと何かを食べている。

 彼女は見た目に反して、まだ食うか……。


「おいしかった~」


 最後の食事を喰い終えると、僕とは違い膨らんでいないお腹をさする。

 どこに消えているのだろうか?


「めちゃくちゃ食べましたね」

「うん、美味しかったんだもん」


 彼女は満足そうにして、僕らは少し休憩するのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る