回避

 目から光が現れる。

 目からビームかな……。

 死を感じる……これは避けられない……。

 至近距離、しかも渾身の攻撃を放った後で攻撃されるのだ、避けられるはずがない。


 そう思った瞬間、ウェルサは横に吹き飛ぶ。

 先程まで全く動かなかった彼が吹き飛んでいた。

 

「うぅ……あ……」


 目の前にはクレアが蹴りを放っていた。


「大丈夫!? 怪我は!?」

「うん、おかげで何ともない……ありがとう」


 これでわかった……。


「弱点がわかった……自分の視界にはいる者、もしくは攻撃してくる者……それが彼を倒す方法だ」

「ふ~ん、なら殺さなくて済みそうかな」


 クレアはそう言って彼を見る。

 

「だけど、今のでその弱点もなくなっちゃったかな」 


 クレアが飛ばした方向は会場の壁際だった。

 

「だけど、煙幕があればなんとかなりそうだ」


 煙幕ではどこにいるのかわからず、全くといって良いほど攻撃していなかった。


「煙幕の時、攻撃はしなかった……だから、それが好機だ」


 説得力は先程の一連の行動で大丈夫だったが確証がない。

 

「本当に?」

「さっきの戦闘で見ただけで確証はないけど、可能性はあるってだけだけど」

「頼りないな~」

「実践が初めてなんだから、仕方ないじゃないか」

「ま、でも当たってるかも……現に彼、左右に見ていて攻撃を迷ってるみたいだし」


 彼を見ると、どちらを攻撃するべきかを考えているのか動かない。

 ハナさんが魔法を放つと、奴はそちらを向き再び攻撃を繰り出す。

 

「もう少し離れよう、視界から離れれば何とかなる」


 希望が見えてきた。


 





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る