カウンとカリオ

 彼奴は卑怯だ。

 俺の欲しいものは全部奪ってくる。

 次期魔王も俺ではなく、カリオだった。

 納得いかない、しかし他の奴は完全にカリオが魔王になるのを賛成していた。

 俺の方が努力して成果を出そうと努力しているのに、奴は簡単に成果を出す。

 気に入らなかった。

 自分の力では何もできない雑魚の癖に、何もかも手に入れる。

 魔族は力が全てのはずなのにだ。

 カリオは俺より弱かった。

 しかし、戦略面においては群を抜いていたが単体面では俺が圧倒していた。


 なのに奴が魔王だと、ふざけるな!!


 そんな気持ちを抑えながら過ごしていると、前魔王がカリオに魔剣を継承した。

 魔王の証である魔剣を奴が手にした。

 奴は魔剣を手にして変わるどころか今まで通りだった。

 皆に好かれ、カリオは平和の為に全てを捧げていた。


 くだらない……俺達は世界にとって脅威なだけなのに……。

 奴は魔王に向いていない……だから魔剣を力づくで奪い、俺が魔王になった。

 だが、結局誰も纏める事が出来ず、バラバラになって力で支配する俺から皆離れていった。

 粛清や恐怖で支配する……それが魔王の本質だ。

 俺は間違っていない。

 間違っているのは奴と周りにいる連中だ。


 だが、力でも奴には勝てなかった。

 力を隠していたのだ。

 結局俺は奴に何一つ勝てなかった。

 それが悔しくて悔しくて、世界を壊すため神と契約した。

 カリオに復讐できるのなら、利用されようが構わない。

 お前の愛した世界は俺が壊す。

 そう決めたのだから。








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