カウンの目的

 魔力の波動の方を見ると、アルスの学院長の服を着た女性がうるさに向かって魔法を放とうとしていた。

 カエラの目は彼女にではなく、彼に向いていた。

 ラートの読み通り、カエラがカウンだ。

 僕は彼女に向かって、指を向ける。

 魔力を指先に集中させ、彼女に向かって放つ。

 それと同時にカウンは学院長が放った攻撃を弾く。


 勝ち誇ったかのように、嬉しそうな顔をする彼女の胸に攻撃が当たる。

 普段なら気が付くであろう、彼の慢心……確実に勝てるという傲りが彼の命を危険に晒す。

 魔法があたり、しばらくすると カエラ《カウン》の胸のあたりに渦が出来始める。


「………!!」


 カウンもようやく気が付いたのだろうが、一足遅い。

 魔法を解除できずにそのまま渦に吸い込まれていき、消えた。


「……!?」


 苦悶の声を吐きながらカウンは近くにいた。

 何とか逃れたようだが、彼は擬態もできない程致命傷のようだった。

 ここで仕留める。

 手を頭上にあげ、魔力を込める。

 

 光槍ホーリーランス……対象に向かって降り注ぐ、光の大槍だ。

 

 瀕死のカウンに向かって手を向ける。

 光の槍は彼に向かって穿ちにかかる。

 流石に逃れる手はないのか、彼は黒い盾を出現させる。

 奴お得意の闇の盾だ。

 僕の魔法と対をなす魔法、光の矛対闇の盾だ。

 そうして僕と奴の魔法がぶつかり合った。













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