挑発

「その程度じゃ、私には勝てないわ」


 魔弾と魔法を撃ち終え、互いに睨みあうとエレナは皮肉交じりにそう言った。

 

「まだだ!」


 更に同じ魔法を複数展開する。

 しかし、彼女は目を閉じてまるでいる場所がわかっているかのように。正確な射撃でウェルサの魔法を無効化する。

 次から次へと展開していくウェルサに追いつくようにエレナは無力化している。

 明らかに舐めている。

 エレナは先程から一向に彼に向かって撃っていないのだ。

 彼女の攻撃速度なら余裕で仕留められるはずだ。

 なのに彼女はあえて全ての魔法を無効化するだけに留めている。


「全く、この程度で粋がって仲間に手を出してんじゃないわよ」

 

 そう言って彼に向かって銃を向けて放つ。

 ウェルサは来ると思っていなかったのか、そのまま魔弾は彼の腹に命中する。


「かぁっ!?」

「その程度でへばるんじゃないわよ、仲間にも同じことしたんでしょ?」


 ウェルサは膝をつくウェルサに次々と魔弾を浴びせる。

 そのたびに彼は苦悶の声を上げるが、エレナは全て急所を外し気絶しないように攻撃している。

 そし魔弾を浴びせ続ける。


「本当はこんな事、私だって好きじゃないのよ?」


 今の彼女は完全に冷徹と呼ぶにふさわしい、蔑んだ表情で彼を見ている。

 

「さて、少し答えてもらうわよ」


 そう言って魔弾を一発放つ。

 その攻撃はウェルサの手の平に命中した。



 




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