154話 

 レキはルミリナを見た後、ミナを見る。

 レキが首を横に振ると、ミナは箱をレキの入っていた箱を取り出す。


「お疲れ様です、レキ」

「はい」


 ミナの言葉と共にレキは箱の中に戻る。

 ルミリナは深く溜息を吐き、審判の方を見る。


「私の負けです、降参します」


 ルミリナの敗北宣言をカエラに伝える。


「良いのですか?」

「これ以上戦っても勝つけど、魔力のストックをこれ以上消費してもね……それに、私達の目的は国家魔法大会にて勝つことであって学院の勝利が最優先、これ以上戦ってストックはなくせないわ」


ルミリナがそういうとカエラは頷く。


「勝者、ミナ!」

 

 そして学院対抗戦の魔法戦は優勝はミナ、二位はルミリナで三位はエレナになった。

 試合は正直、凄まじいの一言に尽きた。

 アルス魔法学院の六法生全席が準々決勝まで進んでいた。

 そしてそれぞれが当たるまで全て圧勝ときたもんだ。


 これで歴代2位だというのだから、サウルの両親の世代はミナ達の世代より化け物揃いなのだろう。


「今年もあの学院が優勝か~」

「そりゃそうだろ、次元が違うだろ……」


 会場では歓喜とともにそんな声が聞こえる。

 次元が違う……確かにフィオレスの学院生が言う通り、彼らの力は圧倒的だ。

 その中でも首席のミナは別格中の別格、彼女の切り札の内まだ四つの力を残している。

 他の学院生や圧倒的に強いアルス学院の人達、特に次席のルミリナでさえ三門で限界だった。

 

 そうして、それぞれの想いをぶつけあった魔法戦は幕を閉じた。

 

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