95話 対抗戦の本命

 結論を言うと、ミリスの圧勝に終わり、その他の試合もAの圧勝で終わった。

 セシアに関しては魔法を放とうとした瞬間にその威力にビビり腰を抜かしてしまう始末だ。


「じゃあ、ラスト……気をつけて……」

「えぇ、分かってます……」


 僕の番が来て、会場に向かう。

 目の前には先ほど馬鹿にしていた集団で唯一笑っていなかった男だ。

 彼には他とは違う強さを感じていた。


「よろしくお願いします」

「………あぁ、よろしく……ところで、テイルはどこのクラスだ?」

「お知り合いですか?」

「あぁ、同じ村出身でな……」

「彼なら、Bにいます……最も、彼はAにいてもおかしくないと僕は思ってますが……」

「そうか、あいつらしい……今日はよろしく頼む」

「こちらこそ」


 そう言い、互いに配置につく。


「それでは最終戦! ここまで全勝のアルス学院が全勝のまま実力を見せつけるのか!? それとも、フィオレス学院首席が意地を見せるか!? それではアルスのサウル対フィオレスのクロノ……」


 僕達は構える。

 相手の構えは魔法というより近接系の武術の構えだった。


 なら……。


「はじめ!」


 合図と共に彼は凄まじい勢いで間合いを詰めてくる。

 

 速い!


 突き出された拳を受け止めると、僕は後ろに交代しながら受け流す。

 クロノは気がついたのか、後ろへ後退する。


吸魔ドレインタッチか……面倒な……」

 

 僕はあらかじめ、自分の手に魔法陣を埋め込んでいた。

 これなら近接戦闘でもなんとかなる。

 相手も魔力で魔法を発動しながら受け流し続ければ、こちらが有利だ。


「ならば、これならどうだ……神速」


 そう言った瞬間、頬に激痛が走り視界が回る。


 しばらくして地面に叩きつけられる。


「………ふぅ……」

「勝者! クロノ!」


 クロノの勝利が確定した……。

 

 





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