86話 フィオレス魔法学院生

「そこまで!」

「かぁ〜! やっぱりセッシー強いなぁ〜!」


 コロナとミリスの戦闘が終わり、僕の合図と共にレアとセシアの戦闘が終了した。

 勝者はミリス、セシアという結果になった。


「当たり前じゃない、首席なんだから」


 そういえばセシアは皆の前で僕やオットーとは戦った事がない。

 最近の戦闘訓練はコロナ・レア・ミリスが多かった……。

 今回の戦闘では僕が自らセシアに提案してオットーと戦った。

 実際、近接線ではオットー、遠距離戦ではセシアがこのクラスで最も強いだろう。

 こちらに歩いてくる人影が目に入る。

 緑を基調とした服に右胸に大樹の紋章を付けたフィオレス魔法学院の生徒が現れる。

 

「君達がアルス学院の生徒?」

「あ、はい」

「そうなんだ」


 なんだ、この鼻につく言い方は……。

 馬鹿にしたような、下に見るような目で僕達を見てくるので少し不快に感じる。


「今回の新人戦対決は余裕そうだな」

「……は?」


 まだあったばかり、しかも失礼極まりない言葉を男子生徒が吐く。


「だってそうだろ? こんな子供ばかりのクラス……これで新入生Aクラスなんだから笑える」


 クスクスと一人の生徒以外笑っている。

 セシアの顔を見ると笑顔で向こうを見ている。

 その笑みが逆にこちら側全員を凍り付かせる。


 怒ってる……確実に……。


「それで? そちらの一年生首席は君かな?」

「え、僕?」


 オットーに向かっていう男は恐らく彼らのリーダー格だろう。


「いや、僕は……」

「私ですが?」


 オットーが否定しようとするとセシアが前に出る。

 しばらくの沈黙のが流れ、男は再び爆笑する。


「え、マジ!? あっちは優秀って聞いてたけどやっぱ六法生だけか〜」

「一応聞いておきますが、貴方の名前は?」

「雑魚に名乗る名なんてないよ……それじゃあね」


 そう言うと男は去っていったのだった。



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