63話 初めての食事会

「それでは! 色々ゴタゴタはありましたが、それぞれ自己紹介お願いしまーす!」

「自己紹介って?」

「んー、なんでもいいよ! 好きな事や趣味…セッシ〜の理想のタイプでもなんでも!」


 婚活か!


 レアは発案行動力は凄いが構想の面は大雑把すぎる。


「じゃあ私から……セシア・マックハートよ。 名前の通り、マックハート家の長女よ……兄妹は六……五人よ。 貴族だからって畏まらないで仲良くしてくれると嬉しいわ」


 ん? 今、六って言いかけたような……。

 セシアが自己紹介を終えると、コロナが手を上げる。


「次は私、コロナ・ウィンベル……私と横のオットーは一般入試だけど、皆に追いつけるように頑張るね! えっと、趣味は…ランニングかな……これから宜しく」


 そう言うと、次々に自己紹介する。


「オットー・スーウェン……宜しく」

「レア・ルゥよ! 趣味は情報集めよ! 皆、よろしくね!」

「ミリス・レインよ。 実家は食堂店、皆…大衆食堂時雨をよろしくね……趣味は新メニュー制作よ」


 最後に僕の順番が来る。


「サウル・ラット、趣味は読書です……よろしくお願いします」


 全員の自己紹介が終わる。


「さて、自己紹介が終わったところで食事にしましょうか」


 それぞれの雑談が始まる。


「ねぇ、食堂って言ってたけど……今度行っても良い?」

「うん、是非是非! お口に合うかはわからないけど……」

「じゃあ、今度こっそり行かせてもらうわ」


「ねぇ、コロちゃん」

「コロちゃん?」

「うん、コロナだからコロちゃん……ダメ?」

「う、うん……別に大丈夫だよ、私もレアちゃんって呼ぶね!」


「サウル…だったか……」

「はい、サウル・ラットです」

「ここ、女性多いな……」

「そう、ですね……」

「………」

「………」


 そう言うと、僕達は黙って食事をする。

 女性陣はと言うと、盛り上がっていた。

 

「そう言えば、マックハートって言えばウェルサくん? 兄妹なんだよね?」

「え? 誰それ?」

「え、でも兄上って……」

「私の兄妹にそんな名前、いないわ」


 先程言っていた六ってウェルサだったのか……。

 どれだけ嫌われれば、除外されるんだよ。

 どれだけ嫌われていてもあんなに笑顔で兄妹から除外される事などよっぽどだろう。


「あぁ、そうなんだ……」


 何かを察したのか、レアは気まずそうにしている。


「でもセシアって凄いわよね、私より歳下なのに主席なんて……」


 コロナが話題を変える。


「たまたまよ、今現状そうなっただけよ……皆だって凄い魔法使えるじゃない」

「やっぱり貴族だから、誰かに教わってたとか?」

「えぇ、私はミナさんに少しばかり教わってたわ」

「え、ミナさんってこの学院歴代上位に位置するっていうあの?」

「私だけじゃないわ、そこのサウル君もよ」


 そう言うと僕に視線が向いた。

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