王都魔法学院編
39話 いざ、魔法学院へ
あの後帰り、サウルが両親の住む家……ではなく宿屋だった。
月極制の宿屋だ。
ここ王都にはこういう宿屋が多い。
冒険者やある一定の月に出稼ぎで来る者なども多い為、こういう宿屋が多いのだ。
「いらっしゃいませ~!」
「あの、ラット夫妻はいますか?」
「あ~、ちょっとお待ちくださいね」
そう言うと少女は蒼い髪をなびかせながら奥に入っていく。
しばらくすると二階から二か月ぶりに両親と再会したのだった。
次の日……。
「準備は良い?」
「はい!」
ミリーにそう言われ、サウルは答えると下に降りる。
下に降りると、ミナと昨日の看板娘が何か話している。
「お待たせしました~」
そう言うと、ミナと看板娘はサウルの方を見る。
「揃ったようですね、じゃあ二人とも紋章を出してください」
今、二人って言った?
横を見ると、看板娘が紋章を取り出している。
どうやら彼女も入学生徒……っと言うことはサウルの同期になる。
「魔法科の生徒だったんだ」
「うん、僕の名前はミリス・レインっていうんだ……よろしくね」
「サウル・ラットです。 宜しくお願いします」
「ミリスは一般試験で入った子なんだよ」
一般試験組か……きっと優秀なんだろうな……。
「たまたまですよ」
「だけど、1つ忠告しておくよ。 向こうでその発言はあまりよろしくないよ」
真剣な表情で言うミナ。
「理由は二つ、一つ目は魔法科の生徒は推薦が多いと言ったね?」
「……はい」
「私などは良いが、中には貴族やらプライドの高い連中……あいつらは君達一般生徒は見下す傾向にある」
庶民ということと、一般試験という最難関を乗り切った強者ということへの劣等感というところで推薦組……特に貴族のボンボンからすれば気に入らないだろう。
「二つ目はあの学院は舐められたら終わりだ……それが例え教師であっても」
真剣な表情には学院でそう言うのを見てきたのもあるのだろう。
「まぁ、今の所は私がいるし付き添いはやるから同じ一般生徒の先輩として相談に乗ってあげるから」
「ミナさんって一般入試だったんですか、てっきり母様の推薦だと思ってました」
「あ~、うん……それも言ったんだけどさ「私の
………え?
ミリーに根を持っているということは必然的に息子のサウルが被害を被るのは確定なのではっと思った。
「あの、それって僕は確定的に被害を被るのでは?」
「………」
笑顔で何も言わないミナにサウルは項垂れる。
「さて、取り敢えず紋章はありますか?」
「はい」
「よし、じゃあ行きますよ……ついて来てください」
外を歩き出すと、最初は少なかったが、学院に近づくにつれ人が増えてきた。
歳は大体サウルみたいな10歳から上は16歳くらいの男女が魔法学院に向かって歩いている。
歩いていくと大きい門は閉じられ、横の警備員が受付をしている。
「いつもこんな感じなんですか?」
「いつもは開いてますよ、ただ今回は手続きが必要なので」
暫らくしてサウルの順番が来た。
紋章を見せると、奥に案内される。
「ここに魔力を注ぎ込んでくれ」
そう言われ、魔力を注ぎ込むと魔力は門の方へ向かい、消える。
「よし、通っていいぞ……入学おめでとう」
「ありがとうございます」
ミリスが通るのを待ってサウル達は入学会場へ向かうのだった。
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