17話 読書タイム?
気まずい……。
先程から僕らは椅子に座り本を読んでいるが、僕の方をルラがチラチラと見ている。
何だ? もしかして……。
本当に一目惚れしてしまったのか。
なので僕から仲良くなってくれって言おうとしているのか?
「ねぇ、ルラ……」
先程までチラチラ見ていたルラがこちらを向き、
「な、なひっ!?」
噛んだ……。
彼女は噛んだのが恥ずかしいのか、俯いている。
「さっきから変だけどどうかした?」
そう言うと彼女は本で顔を隠し、
「な、何でもないよ……」
「いや、明らかに何かおかしいし……」
「………なんでもない……。」
変なルラ……。
そう思いながら、これ以上何を言っても応えそうにないので、僕は本に視線を戻す。
陰魔法は主に人を惑わす魔法……。
視覚や聴覚等を惑わし、尋問を主に行う魔法だ……。
尋問は僕は嫌だなぁ~。
人を一方的に痛めつけるのは、僕はあまり好まない。
確かに戦わなければいけない時はある。
だが、戦闘意志の無い者などの尋問は、僕の中ではどうしても躊躇うものがあった。
読み続けると、戦闘面においては、不意打ちメインの魔法が多かった。
こうしてみると魔法ってたくさんあるんだなぁ~。
僕は一通り読み終わりルラに目を向け、
「ねぇルラ?」
「なに?」
ルラは視線を向けると、本で顔を隠しながらそう言う。
僕は気にせずルラに話しかける。
「一緒に読んでもいい?」
「何でよ?」
「いろんな魔法知りたくてさ……」
「………好きにしたら……」
僕はそう言われ、ルラの椅子の横に座る。
ルラは僕の方に本を渡し、反対側の席に着き、僕の読んでいた本で顔を隠す。
「………本当に大丈夫?」
「だから大丈夫だって……」
何なんだよ、全く……
彼女の行動が全く読めないので不思議に思っていると
「いたいた、全く……ここにいたのね……」
「あ、母様……」
「あ、見たい本を見つけたのね」
そう言うとミリーは首を横に傾げる。
それはそうだ、ルラが陰魔法の本を開いていて僕が聖魔法の本を開いているのだから……。
「本、逆じゃない?」
そのご意見はごもっともだ……。
「お互い読み終わったので、交換して読んでました」
「ふ~ん……ルラちゃんは……ん?」
ミリーがルラにそう言うとルラはミリーに抱き着いた。
「あらあら、どうしたの?」
「母様、それが……」
様子がおかしくなった経緯を説明した。
走っていった先の魔法の本を二人で取り、読めるスペースまで行こうとして男の人にぶつかり注意されたことを報告した。
そう言うと意外な返事が返ってきた。
「あら、レイスが言っていた子達って貴方達だったの……なるほどそう言うこと……」
何かを悟ったのかミリーがルラの頭を撫でながら、
「サウル、暫らくルラちゃんに接近禁止……」
訳の分からないことを言われた。
僕が何をしたっていうんだ!
「母様……どういう……」
「それ以上禁止……」
マジか……。
「よしよし、ルラちゃん……」
周りからしたら僕が何かした感じになっている。
理不尽だ……。
僕はトボトボと席に戻り、本を読み進めるのだった……
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