白銀の沙汰

作者 蒼翠琥珀

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★★★ Excellent!!!

 ここは森羅万象を司るライブラリの司書、羅土(ラド)の館。
 そのライブラリに情報を伝えるのは、銀河を旅する璃杜(リヒト)の役目。
 ここには、銀河の様々な情報が集められ、蓄積されています。
 
 一緒に住んでいるのは、従者でありカラスの本質を持ちながら、この館では人間の男性の姿になっている双子の異人。無二(ムニ)と巫儀(フギ)。
 隕石と共にやってきた、白狼の本質を持つ双子の女性の異人。樹理(ジュリ)と麗樹(レキ)。

 異なる種でありながら惹かれ合う、樹理と巫儀の恋が描かれています。

 二人は惹かれ合いつつも、異種間での子孫繁栄は望めません。
 そして、樹理と麗樹は、いずれまた、なんの前触れもなく銀河のどこかへと飛ばされてしまうかもしれない運命を持っていました。

 だからこそ、樹理は過去と未来の可能性を求めて研究に勤しみ、巫儀は彼女たちの行く先をどこまでも追える黒い翼を大切に思っています。
  
 やがて訪れる離れ離れの未来を憂いつつも、今だけは……この腕に抱きしめていたい。

 そんな二人の恋心が、儚くも美しい作品です。

 双子の無二と麗樹の恋は、『白黒の黎明』と言う作品に語られていますので、一緒に楽しむことができますよ。
 
 切ない恋心に、どっぷりと浸ってみたい方、必見です!

★★ Very Good!!

 今回のコンテスト短編賞参加作品において、私が読んだ限りでは最も難解だった。

 まるで、ところどころしかわからない未知に近い言語で刻まれた石板を解読していくような心境である。

 むろん、それは本作の威厳や成果をいささかも落とすものではない。その逆だ。

 性別や種族、個人個人の価値観に至るまで本作は作者当人にしか書けない文章をフルに駆使している。一語一語に全力を尽くして仕上げているに違いない。

 謎めいた『針』の行方、他の読者諸賢も是非とも本作を読んで探索して欲しい。

 詳細本作。

★★★ Excellent!!!

琥珀に封じ込められた太古の虫について、タイムカプセルと描写されているところがあり、素晴らしく的確な表現だと思いました。

暗号の意味がまるわかりの部分に、愛を感じました。

人の姿はかりそめで、実は別の姿を持っております。

その姿で、官能的に傷の手当をする場面で、恥ずかしくなりました。

自己の存在意義、つまりは、レゾンデートル(raison d'être)と言う用語のCDアルバムや書物を昨今手に取りました。

この哲学を忍ばせている所に、作者様の果てしなく膨張すると言われている宇宙のような世界観を感じました。

ここに住まうもの達は、細やかであり、深くもあります。

そして、切ない心の綾があります。

露天の温泉シーンもあります。

サブタイトルの文字数が揃っており、そこにも世界観を感じました。

是非、この宇宙の頁を捲ってください。

★★★ Excellent!!!

『白黒の黎明』と対になったお話。獣と人、雄と雌を行き来する彼等の出逢いが描かれた、はじまりの物語です。
移りゆくものと留まるもの。白狼と黒鴉。探求者と観測者。
ながくひろく世界を視続ける者たちの、ほんのひとときの邂逅。その奇跡のような刹那の輝きを掬い取って、甘美な切なさと共に読ませてくれます。
記憶はいつか刻の中に消えてしまうけれど、今あるこの想いは確かにここに存在している。もしかしたらその想いは、銀河を形づくるものの一部として時空を超え、在り続けるのかもしれません。

……我ながら、わけのわからないレビュー。でもこの作品、何度も読み返してはあれこれと夢想したくなるのです。
ぜひ、彼らの世界を感じ、その美しさに浸ってみてください。『白黒の黎明』と併せて読めば、より堪能できますよ。

★★★ Excellent!!!

作者さまの前作『白黒の黎明』と対をなす作品です。
できれば先に『白黒の黎明』を読まれてからの方がこの作品をより理解できるかと思われます。

いつも実験室で実験をしている樹理。
そんな樹理に夢中の巫儀。
しかし両者は種属も生き方も違うわけで……。
「AIは時空を超える」ならば巫儀の想いあってこそ種属も時間も超えていくはず。

またこの作品には名言がたくさん散りばめられています。
どれが心に刺さるかは読み手によって違うのでしょう。

★★★ Excellent!!!

人の姿と獣の姿。男性と女性。
種族も性別も時として入れ替わる、不思議な者たちの物語。
作者の作品群を所狭しと駆け巡るキャラクターたちが、ここでも様々な形で繋がっていきます。

悠久の時。変わりゆくもの、普遍のもの。
その片隅で見つけた、まだ淡い、温もりある感情。
古代より受け継がれた琥珀の中に眠っているのは、きっと蜂だけではありませんね。
時も種族も超えて、「彼(彼女)」が紡ぐ物語を、まだまだ見つめていたいと思わせます。
もふもふと温泉もあるよ!