第00話 ちょっとここいらで

 



 遠方取材から時間も経ち、夏休みもほぼ終わり。皆さんはどんな感じでお過ごしでしょうか。結局あの後はダラダラと夏休みを過ごす……事はなく、容赦ないヨーマの記事依頼に翻弄されつつ、あっと言う間にこんな時期にまでなってしまいました。


 それにしても怒涛の新学期が始まって早5ヶ月程。いやぁ展開がありすぎて正直疲れました。という事で、簡単に今まで出会った人達の紹介でもしようかなって思ったりしてます。


 まずは……あいつでいいか。

 クソイケメンイビキ委員長(通称片桐栄人)。まぁ、一言で言うなら歩く核弾頭だよな。一緒にいたら常に何かしらのダメージを受ける。こいつの影に隠れて大人しく過ごそうなんて考えが甘かったよ。なにせこいつには影がないのだ。


 まぁ、そんな奴も一応は中学校からの知り合いな訳で、その経歴はかなり凄い。本格的に陸上を始めたのは中学校かららしいけど、小学校の時からその片鱗はあったらしい。

 メキメキと才能が開花し、常勝無敗の名のもと短距離界のホープとして期待されてる。


 そして、こいつは見た目通りポジティブ。しかも皆がやりたがらないことでも率先してやるから、性格はいいんだろう。そのルックスも相俟って女子男子どちらからも受けがいい。現に3組がまとまってるのもこいつのおかげだ。

 ただ、俺にとってその性格が今のところまずい方向にしか向いていないのが気になる。その辺が変われば、もうちょっとこいつを敬えるんだけどな。


 あと1つ、今さら思ったんだが……日城さんを見て、俺に凜の事を言ってこないのが気になる。もちろん凜の事は知ってるはずだから、似ている日城さんを見たらそんな話してもおかしくないのに。いや、安易に触れないようにしよう。もしかしたら本気で忘れてるかもしれないし……そうしよう。


 次に早瀬琴。

 身長はまあまあ、胸がでかくて髪が長い。栄人の知り合いらしく、入学式の時に紹介して貰った。中学の時、合宿で一緒だったらしいけど、正直なんの種目が専門なのか分からない。

 ただ、リレーでは抜群の速さだったし、短距離かなとは思ってる。見た目通りの大人しい感じで、俺の周りにおける常識人の1人。彼女にはこれまで通り、場の空気を癒して貰いたい。


 そして次に2年生の葉山彩花。

 新聞部、通称鳳瞭ゴシップクラブ編集長。その家柄は全国的ホテルチェーングランド・リーフを手掛ける葉山グループの娘さん。正直聞いただけで恐ろしい。もちろん性格もそれ相応で、言いたい事はずばっと。要求のレベルも高くまさに妖艶な悪魔ヨーマ。まぁ、新聞部に入部することになったのも、元は俺がぶつかって、押し倒したあげく胸を鷲掴みにしちゃったからなんだけどね……はい、柔らかかったです。


 黙っていれば、そのモデル体型に綺麗な顔立ちで凄いのは間違いない。生徒からの人気が抜群なのも頷ける。

 まぁそんな感じの人だけど、桐生院先輩曰く今の新聞部が楽しいらしい。本当か? とも思うけど、遠方取材の旅費とか殆んど払ってくれてたらしいし……もしかしたら本当なのかもしれない。

 極度のツンデレとかだったらいいのになぁ……今の所はツンツンです。


 そして、同じく2年生の桐生院采。

 俺の周りにおける常識人の1人。早瀬さんと桐生院先輩がいなかったら、結構やばい気がする……てかヤバいと思う。

 ヨーマとは保育園からの付き合いらしく、時々ヨーマに毒を吐ける唯一の人だ。もっとやってくれ。

 それに話しやすいし、優しいし、こういう人が理想の先輩なんだろう。記事等新聞の編集をしているだけに常にパソコンをカタカタさせてるのも印象的だ。


 だが、遠方取材ではそのイメージがガラリと変わったっけ。まさか率先して覗きに俺達を誘うなんて……もしかしたら、考えが1番普通の人に近いのかもしれない。その独特な雰囲気で俺達が勝手に桐生院先輩のイメージを作り上げてるだけで……なんにせよ、居てくれてありがとう! 桐生院先輩!


 んで、次が……日城恋。

 この子に関しては参った。入学式早々に御対面した訳だけど、声も顔も身長もその全てが凜にそっくり。お陰様で治りかけてたはずの女恐怖症が再発したよ。名前から完全に別人だって分かっても、やっぱり体は反応しちゃうんだよね。それに鳳瞭学園中等部からの進学組だから、葉山先輩と桐生院先輩とも仲が良い。結託したらまず勝てないだろう。


 そんな経緯で少し関わらないようにしてたんだけど、新聞部におけるペア決定、そこからの白浜マリンパーク事件を経て、俺が女恐怖症だって知る唯一の人となってしまった。そしてなにを血迷ったか女恐怖症を治すの手伝う話になり、なんだか色々世話を焼いてくる……はっきり言って本音が1番分からない人物かもしれない。とにかく用心にこした事はない、危険人物だ。ちなみに意外と胸がでかい。


 そんで最後は俺、月城蓮。

 幼馴染に振られ、更にその話が噂で流れて見事女性恐怖症を発症。それから逃げる為、猛勉強の末に超名門鳳瞭学園への入学に成功する。噂とは無縁、トラウマとは無縁の新たな地で平和で平凡な学園生活を夢見たけれど、あんなこんなで表舞台に引きずり出された気がする。


 高梨凜そっくりな子、日城恋と同じクラスとなったり、葉山彩花とぶつかってしまい、胸を揉んでしまうラッキースケベ(醜態)を犯してしまい、それを餌に新聞部への入部が強制的に決定したりと、もはや最悪のオンパレード。


 林間学校の班リーダーを無難に乗り越えても、体育祭ではクソイケメン委員長のせいでリレーを走ることに。そしてコケたクソイケメン委員長のせいで全力疾走する羽目になり、思いのほか活躍してしまったせいで、全生徒の目の前で注目されてしまうなど……この時点でひっそりと学園生活を送るという目的は完全に消滅。


 しかし、ついこの間の遠方取材では、宮原旅館の最高のおもてなし、信じられない怪奇話に露天風呂覗きという男のロマンも重なって、体力は完全回復。

 まぁ、桃野先輩から大きな問題を抱えている事を見抜かれたけど、それは解決するとのお言葉を聞き安堵のまま学園の寮へと帰宅。なお、問題解決のキーパーソンが新聞部の面々だと聞き、それだけは納得できていないです。


 こんな感じで、ものすごく濃い学園生活を送っている、月城蓮でした。

 てか、思い起こせば見事に描いていた学園生活と真逆な事が起こりすぎじゃね?


 あと、女性恐怖症については最初より話とかは普通にできるようになったはずだし、大分良くなっている気はする。けど、距離感とか、触れられたりするのははまだまだ時間はかかりそう。


 これからの学園生活……どうなる事やら不安でいっぱいです。


 まぁ、そんなこんなで軽く皆の紹介をした訳ですが、明日から……


 新学期スタート!



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