339:意外な一面

 日焼け止めを塗り終わり、とうとう待ちに待った海へ入ることに。


 周りには人も結構多いから、逸れないようにある程度固まって行動することに。


「海に入るの久しぶりです!」

「実は私も久しぶりに来たんです。最後に行ったの、学生の頃だった気がしますね」

「ぼくはこうして誰かと来るのは初めてなの」

「えっ!?綾乃ちゃんそうだったんですか!?」

「えぇ!?そうなんですか!?」

「基本的にぼくはお家に籠ってるの⋯⋯ぶっちゃけ今も水着着てるの恥ずかしいの。着慣れてないの」


 そう言いながらも、水着をしっかりと着こなしている綾乃さん。見た目が中学生くらいだと思ったのはここだけの話。


 ⋯⋯でも、僕もそう思われてそうだけどね。

 それに水着が恥ずかしいのは凄くわかる。

 だって僕は今女の子用の水着着てるからね!?恥ずかしいに決まってるよね!?


「綾乃さん、気持ちはわかります⋯⋯」

「いや⋯⋯えっと、なんというか、優希くんに見られるのが恥ずかしいというか⋯⋯なの」

「えっ」

「好みの見た目の子に見られると恥ずかしいの」

「ふぇっ!?」

「ま、まぁそれを言うと、華に見られるのも同性とは言え少し恥ずかしいの」

「綾乃ちゃん⋯⋯可愛すぎませんか??」


 綾乃さんはいつもの雰囲気と違い、ちょっと女の子っぽい仕草を見せると、華さんは綾乃さんに軽く抱きついて頭を撫でる。


「ちょっ、やめるの!?

 子供みたいに扱わないで欲しいの!」

「いいじゃないですかー!

 こんなデレ方する綾乃ちゃんは初めて見たんですから!」

「ぐぬぬ⋯⋯思わず口に出したことを後悔⋯⋯いやでもこれはこれで役得な気もするの」


 綾乃さんは華さんに抱かれながらなんともいえない表情をしている。でも、発言がいつもの感じだから大丈夫そう?


「と、とりあえずぼくのことは置いておいて、海へ入るの。

 流石にそろそろ暑いの」

「そ、それもそうですね!」

「むぅ⋯⋯綾乃ちゃんも優希くんももっと愛でていたいですが仕方がないですね⋯⋯暑さで熱中症になってもいけないですし、そろそろ行きましょうか」

「はい!」

「れっつごーなの」



 あれから海に入り、水のかけあいをしたり、ちょっとだけ深めの場所で泳いでみたり、持ってきたビーチボールで遊んだりとまるで漫画に出てくるキャラ達がするような海の遊びを楽しんでいると、気が付けばお昼に。


「ふぅ、結構遊びましたね⋯⋯そろそろお昼でも食べちゃいますか?」

「名案なの。ぼくもお腹が減ってきたの」

「それだったら僕は海の家で焼きそば食べたいです!」

「焼きそば⋯⋯私も焼きそばにするか迷っちゃいますね」

「優希くんがそう言うとぼくも焼きそば食べたくなってきたの」

「あとかき氷も外せないです!」

「確かになの」

「暑い外で食べるかき氷、絶対美味しいでしょうね」


 皆、お腹が空いてきたみたいで、僕達は揃って海の家へ向かうことに。もちろん、上着を羽織るのも忘れずに。


 ただ⋯⋯華さんはスタイルが良いからか、上を羽織っていても周りから少し注目されているみたい。


「ん?優希くんどうかしましたか?」

「い、いえっ!?なんでもないですよ!?」


 チラッと見ていたのが分かったのか、華さんはそう聞いてくる。僕は別に変な目線で見ていなかったけど、何故か思わず変な声が出てしまった。


「もしかして、私の水着に見惚れちゃいましたか?

 ⋯⋯実際言ってみると恥ずかしいですねこれ」

「ま、まぁそんなところです」


 ちょっと悪戯気味に華さんが言ったから、僕もそれに対抗するように少し肯定気味に答えると、華さんが一瞬フリーズした。


「えっ」


 実際のところは周りの視線が気になって、その視線の先が華さんだったから⋯⋯なんだけど。


 それに水着が似合ってるのも本当だし、嘘は言わないよ。


「綾乃ちゃんの気持ちが分かった気がします⋯⋯」


 そう言いながら、羽織っていた上着をしっかりと羽織り直す華さん。その顔は赤く、華さんにしては珍しく、恥ずかしそうに見える。


「⋯⋯なんかそんな反応されると僕も困っちゃうんですけど」

「し、仕方ないじゃないですか!」

「華にもまだ乙女っぽい部分があったなんて驚きなの」

「綾乃ちゃんは私を何だと思ってるんですか!?」

「まぁまぁ、落ち着くの。混む前にご飯食べに行くの」

「ぐぬぬぬ⋯⋯綾乃ちゃんもそう言ってますし、とりあえず行きましょうか」


 そして海の家に入り、焼きそばを注文すると、オーソドックスな焼きそばが出てきた。普段とは違うシチュエーションで食べているからか、凄く美味しく感じる。


「うまうまなの」

「こういう場所で食べると何故か美味しく感じるんですよね。

 バーベキューとかも良かったなって思っちゃいます」

「バーベキュー⋯⋯良いですね!

 昔は家で良くやってました!」

「家でですか?結構庭が広いんですね?

 私の実家はそこまで広く無いので、川とか山に行ってやることが多かったです」

「ぼくはそもそもバーベキューやった事がないの」

「バーベキューやったこと無いんですか!?!?」

「そもそも、外の出るのが好きじゃないから仕方ないの。

 うちは家族全員インドア派だったの。家の中で焼肉とかはよくやってたの」

「確かに後片付けとか面倒ですもんね⋯⋯」

「それだったら綾乃ちゃん、今度皆でバーベキューやりませんか?」

「良いですね!」

「それこそさくらちゃんとか、知ってる子を呼んでも良いと思います」

「バーベキューオフコラボ⋯⋯確かに楽しそうなの」

「も、もし優希くんも良かったら⋯⋯どうですか?」

「楽しそうですね!その時は声かけてくれると嬉しいです!」

「絶対送ります!!」


 そして、食事も済んで改めて海へ⋯⋯と思っていると。


「それじゃあ優希くん、もう一回日焼け止め塗りますよ?」

「えっ?」


 一回塗ったら大丈夫なんじゃ無いの!?


「日焼け止め、海に入ったら割とすぐに落ちちゃうので2度塗りは大事なんですよ?」

「そ、そうだったんですね⋯⋯」

「ぼくはとりあえず、ちょっと欲しいものがあるからちょっと席を外すの」

「えっ、綾乃ちゃん?私にも塗ってもらいたいんですけど⋯⋯」

「優希くんに塗ってもらったら良いと思うの」

「「えっ」」


 そう言うと、綾乃さんはどこかへと歩いて行ってしまった。


「と、とりあえず優希くんの日焼け止め塗っておきましょうか⋯⋯」

「お、お願いします⋯⋯」



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お久しぶりです。作者の二兎凛です。

ギフトなどを投げて下さった方いつも応援ありがとうございます!

コメントなどもいつもありがとうございます!

本当は返信をしたいんですが、いかんせん最近は体調とメンタルが死んでおりなかなか返せない状況が続いています。落ち着いたらコメント返信も再開したいなとは思っているのですが、Twitter(X)の方でならそれなりに高確率で返信もしているので返信欲しいぜ!って人はそちらをどうぞ!


あと、優希くんに日焼け止めを塗りたい?僕もそう思います。でもふわちゃんにも塗りたいですね。

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