335:練習カスタム!
練習カスタム、その参加メンバーはかなり豪華で、個人勢で登録者20万人超えのVTuberだったり、いまなんじやVライブ、ばちゃすぽ!、紅霧大学と呼ばれる大手、中小問わず色々なメンバーがいた。但し、各チームに一人は必ずいまなんじのメンバーはいるけれど。
『練習とはいえ、少し緊張してきたかも⋯⋯』
「ゆかちゃんはこういう大会初めてって言っていましたねー」
「ぼくがいるから大丈夫なの。
もし不安ならぼくがぎゅってしてあげるの」
「なのちゃん??」
「おっと、いけないなの。
ついつい本音が出ちゃったの」
『ぎゅっはいらないけど、ありがとう!なのお姉ちゃん!』
「これだけでご飯3杯はいけそうなの」
『おかずじゃないよ!?』
:なのちゃんがゆかちゃんをおかずに⋯⋯(ガタッ
:通報しました
:通報したよ
:通報
:そんなぁ〜
コメントは3人が見ていないのを良いことに、少しだけ過激なコメントが目立つ。幸か不幸か、今の彼女達はそれを目にすることはなかった。もしあったとしても、終わり頃や全滅した後くらいだろうか。
そんなことがありつつも、とうとう時間がやってくる。
「それじゃあ、練習の成果見せますよー!」
「れっつごーなの」
『頑張るよ!みんなも応援よろしくね!』
そう気合を入れた瞬間マッチング完了の音が鳴り、ゲームが始まった。
♢
ゲームが始まり、使用するキャラを選択。ボクがモクおじで、ふわりお姉ちゃんがマケおばで、なのお姉ちゃんは索敵が出来る黒狼。まずは指定されているランドマークへ降りるボク達。それぞれ別の建物へ降り、物資を得る為にそれぞれ中へと入っていく。
「ふぅ⋯⋯まず軽く漁りましょうか」
「こっちは武器が渋いの。
そっちに良い武器ってないの?」
『回復なら結構あったよ!』
「こっちはグレが多めですねー」
「そうなるとやっぱりファイトは必須になってきそうなの。
物資が少なすぎると間違いなく最後の方でつむつむしちゃうの」
『ファイトするにしても武器が弱いような気もするけど⋯⋯どうすれば良いのかな?』
「まず、大きなランドマークの漁り残しを奪いに行くの。
少なくとも武器は得意なものを持てるようにするの」
「ですね、それが良いと思います」
「なのが索敵しながら先導するから着いてくるの。
ここからだと⋯⋯ここが良いと思うの」
そう言いながらピンを打ったのはこのゲームの中でも大人気のランドマーク。数パーティ分の物資があるここなら漁り残しがあっても不思議じゃないね。
「ふわりにはマケおば使ってもらってるから、敵が少なそうならマーケット使って漁っちゃうの」
「了解ですー」
「それじゃ、さっさと移動するの」
『了解だよ!』
ボク達がいたランドマークからそそくさと離れ、目的地へと移動を始めようとしたその時。
「ん?何か音が聞こえた気がするの」
「え?そうですか?」
『ボクもわからなかったけど⋯⋯』
そう言った瞬間——
「やっぱ撃たれたの!」
「も、物陰に移動しますー!」
『わわわっ!アーマー割れちゃった!
一応もくおじのガス置いとくね!』
「一旦ガス発動させちゃって良いの。
近距離戦し辛い状況を作るの」
「そういえば、私ESCPタワー持ってます!」
「それなら⋯⋯ここに炊いて欲しいの!」
「了解ですー!」
『一応もくおじウルト出せるよ!』
「もくおじウルトは⋯⋯出来れば温存したいの」
『わかったよ!』
「あとはお祈りゲーミングなの」
すぐに逃げの判断をしたなのお姉ちゃん。
すぐにふわりお姉ちゃんがESCPタワーを使用して、全員で乗り込むべく走り出す。
「出来たらで良いから足元に向けてガス置いてくれると助かるの」
『投げとくね!』
「助かるの!起爆はしておくの」
「これでなんとか逃げれると良いの。
相手がタワーで逃げる敵を打つのが上手じゃなければ⋯⋯完璧なの」
それがフラグになったのか、凄く撃って来る。
『待って待って待って痛い痛い痛い!!!』
「うおおおおおおお!!!あと少しなのおおおおおお!!!!」
「あああああああああああアーマーが割れましたああああ!!!!!」
時間にして約5秒。
撃たれたい放題でボクの体力ゲージは、残り2割くらいに。
ふわりお姉ちゃんも5割くらいで、なのお姉ちゃんはギリギリ体力がマックス。でも全員アーマーが割れていて、確実に降りた先で戦闘が起きれば不利を背負う形に。
「あっぶねーなの!!!」
「すごくギリギリでしたー⋯⋯」
『あと1秒時間かかってたらボク死んでたかも⋯⋯』
「って移動始まっても撃ってきてるの!!!」
「どんだけ隠キャなんですかああああああ!!!」
『ちょっ!一発当たってミリになっちゃったよぉ!?』
それでもなんとかギリギリ逃げ出せたボク達は目的の場所へ向けて移動した。
「ふぅ、なんとか無事でしたー⋯⋯」
「今のはヤバかったの。攻めて来るの早すぎなの」
『ヒヤヒヤしたね⋯⋯』
「とりあえず、この建物をガスで固めて守るの。
今のところここがアンチの中心っぽいからワンチャンラストまで耐えれるかもしれないの」
「こっちに無理に攻めてくる人いないのがラッキーですねー」
『とりあえず固める前にバッテリーだけ巻いちゃうね!』
「なのも回復しないとなの」
「私もですねー」
なんとか逃げるのに成功し、取りたかった建物を占拠する事が出来たボク達は安心して建物の中で回復を始めた。
「おー、キルログが凄いの」
『一人で無双しすぎじゃないかな!?』
「流石Lightning Yossyさん。
引退したとは言え、元プロは伊達じゃないですねー」
『あれ?Lightning Yossyさんって⋯⋯』
「私達のコーチの元チームメイトですよー」
『やっぱりそうだよね!?』
「でも流石に武器縛り無しはやばいですね、あれ」
「完全に大暴れなの」
「あっ、れなちゃん死んじゃった」
「それは草なの」
『待って、気付いたら残り5部隊なんだけど!?
ボク達籠ってただけだよ!?』
「マケおばで物資だけ頂いちゃいましょうか?
やり合ってた場所的にギリギリ届きそうですからねー」
「やっちゃえふわりなの」
そして、マーケットを置いて少しすると⋯⋯
『なんか動き変な人が来たよ!?』
「ちょっ!?エイムやばすぎ!?」
「なのおおおおおおおおお!!!!負けるかなの!!!!」
『一瞬でダウンしちゃったよ⋯⋯ごめんね⋯⋯』
「アーマー割ったの!」
「待ってください!何ですかこのキャラコン!
まともに弾当てられないんですけど!?」
『「「あっ」」』
結果として、ボク達は1人のプレイヤーに蹂躙され、4位で終了してしまった。もちろん、その相手はLightning Yossyさんで、更なる縛りが決定した瞬間でもあった。
♢
「という訳で反省会ですー」
「流石にあれは無理ゲーにもほどがあるの」
『アレはヤバかったね⋯⋯一瞬だったよ』
あまりにもLightning Yossyさんが暴れすぎてしまい、運営サイドで縛りを追加するために少しの間待ち時間が生まれてしまった。それもあって、ボク達はコメントを見られるように変更し、少しの間だけ反省会をすることに。
:あんなん災害やぞ
:俺運営サイドの配信も見てたけどあの感じだとハンドガン縛りになりそうだな
:アタッチメント禁止でアレだからな⋯⋯
:去年引退したばかりとは言え、実力劣って無さすぎる
:信じられるか?あれでもう40歳なんだぜ、あの人
:強すぎんだろ⋯⋯
「とりあえず、反省するところと言えば、最初でしょうか?」
「不利を背負わされたところなの」
「場所バレを嫌って黒狼のスキルを使わず、音と目で索敵したのが不味かったの。そこはぼくのミスなの」
「アレでドタバタしちゃいましたからねー」
『ボクは最後の方かな?籠るって決めたならマケおばのウルト早めに炊いても良かったかなって思ったかも』
「確かにそうかもしれないですねー」
「マケおばのウルトは発動時のエフェクトが大きいからそれは確かになの」
「次の試合はそれを含めて動きを考えてみましょうかー」
:な、なんか真面目に反省会してる⋯⋯
:暴走してない⋯⋯だと⋯⋯?
:そんな!暴走しないふわちゃんとなのちゃんだなんて!!
「あの、私のことなんだと思ってるんですかー?」
「失礼しちゃうの。ぼくだって真剣なときはやるタイプなの」
:いまなんじのやべーやつ
:いまなんじのやべーやつ
:いまなんじのやべーやつ
「なんでそんなに息ぴったりなんですかー!?」
「酷いの⋯⋯」
:ごめんね
:なかないで
:言いすぎた⋯⋯?でもなのちゃんだぞ??
「こうなったらゆかちゃんに甘えるの」
:なんでそうなるんだよっwww
:草
:ちがうそうじゃない
:良いぞ、もっと甘えろ!!!
「なーのーちゃーんー?」
「ひえっ」
「私も混ぜてくれないと嫌ですよ?」
「そ、そうだったの⋯⋯ふわりはこういうやつだったの」
『なんでボクに甘えるの前提なのかな!?』
「まぁそれは後でに取っておくとして」
『取っておくの!?!?』
:ゆかちゃんのツッコミがキレッキレで草
:もはや漫才
:これが夫婦漫才ですか
:夫婦婦漫才になってるが
:つまり⋯⋯おねショタハーレム!?
:ゆるママ「ガタッ!」
:Haruちゃん「ガタッ!」
:エミリー「ガタッ!」
:さくらちゃん「ガタッ!」
:繋「ガタッ!」
:ステイステイ
:実際ゆるママ乙女っぽいところあるからハーレムはなさそう
:ゆかちゃんも乙女だぞ
:こうみるとゆかラブ勢多いな⋯⋯
『ボクは乙女じゃないからね!?!?』
「つまりOKってことですかー!?」
「落ち着くのふわり」
『何がOKなの!?!?』
:つまりハーレムOKって⋯⋯コト!?
:ごくり
:草
:普通逆なんだよなぁ!!!!
『OKじゃないけど!?』
:あっ
:これは⋯⋯
:戦争⋯⋯ですかね?
「みんな、落ち着くの。
とりあえずそろそろ2戦目始まるらしいから集中するの」
『そ、そうだね!頑張るよ!』
「⋯⋯そうですねー」
:ふわちゃんから圧のようなものが⋯⋯
:が、がんばれー
:応援してるよー
その次の試合から妙にふわりお姉ちゃんが強くなったのはここだけの話。
♢
今日は練習カスタムを5戦やって、初回が4位、次が2位、その次が12位、8位と続いて最後は3位と、それなりに良い成績を取ることが出来た。でも、ボクが足を引っ張っているような気がして⋯⋯ちょっと悔しかった。
「優希くん、お疲れ様です!」
「優希くんお疲れさまなの」
「は、はいっ!二人ともお疲れ様です!」
「思っていたよりも良い成績取れたから良かったの」
「⋯⋯思っていたより?」
「ん、正直なの達だと優勝は難しいと思っていたの。
理由としては他のメンバーの強さなの。
達人帯やその上位500人達が至れるマスターレジェンド、そこに足を踏み入れた事があると言ってもぼくは達人帯の床ぺろ勢なの。
そこに足を踏み入れ、高みを目指せる猛者ではないの」
「だから、優希くんが自分の実力不足だと思ったならそれは当然のことなの。ぼくですら思っていることなの」
「だから優希くんが気に病む必要は無いんですよ」
「えっ」
「優希くんのことですし、自分のせいでとか思ったと思います。
でも、優希くんが頑張ってるのは知ってますし、劣っているとは思いません。ただ⋯⋯あの人たちが頭おかしいだけです」
「流石にノーハンデは無いと思うから、本番はもうちょっとマシになってるはずなの」
「あれは流石に蹂躙でしたからね⋯⋯」
遠い目をしながら、華さんはしみじみと言った。
「という訳で優希くんも慰めたことですし⋯⋯」
「優希くんに甘える番なの」
「えっ」
「なんて、冗談ですよ?」
「も、もうっ!からかわないでください!」
「えっ」
「どうしたんですか?綾乃ちゃん」
「⋯⋯甘えないの?」
「本気だったんですか!?」
「いっぱい頭よしよししてもらうつもりだったの⋯⋯」
「頭⋯⋯くらいなら?」
「綾乃ちゃん!明日は海なんですからね!」
「はっ!そうだったの!早く寝て、備えないとなの!」
華さんに明日のことを言われると綾乃さんは慌ただしくしながら、寝室へと向かって行った。助かった⋯⋯でいいのかな?
「という訳で私達もそろそろ寝ましょうか?」
「え、えーと⋯⋯おやすみなさい⋯⋯?」
「優希くんこそ、ちゃんと寝ないとダメですよ?」
「(特に、こっそり練習したりとかは)」
「!?」
「夜更かしは体に毒ですからね?」
「は、はい!」
華さんは僕の考えを見透かしていたように耳元で囁く。
「はぁ⋯⋯」
寝室へ戻った僕は、今日のことを思い出した。
「もっと上手く⋯⋯やれた気がするんだけどなぁ⋯⋯」
やっぱり、白姫ゆか状態だと腕が落ちちゃう⋯⋯のかな。
「⋯⋯ん?」
「なりきってなければ⋯⋯もうちょっといけるのかな?」
「明日の夜、少しだけ手伝ってもらうのも⋯⋯良いかも」
そう考えながらベッドに入っていたら、僕の意識はなくなっていた。疲れていたのかな、多分。
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FPS回、どうして毎回長くなるん!?
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