333:水着を買いに行こう!
「海へ行く前に水着を買いに行きましょう!」
「まだ夕方だから近くのお店も開いてるはずなの」
「わ、わかりました!」
華さん達に連れられ、僕は近くにある大きなイーオンへと向かうことに。
イーオンと呼ばれる有名なショッピングモールはこの近辺でも有名な場所で遅めの時間にも関わらず多くの人で賑わっていた。
「優希くん、逸れないように気を付けてくださいね?」
華さんはそう言いながらナチュラルに僕の手を握ってくる。
そして閉店までは多少余裕があるとはいえ、今日と明日の夜には練習カスタムが開かれる予定なのもあって、ある程度急がないといけないみたい。
売り場へ急いで向かい、それぞれ目的の物を探すことになった。
♢
「水着、どうしようかな?」
ぶっちゃけて言えば、白姫ゆかとして水着を着てと言われるなら女性ものを選ぶんだろうけど、明日は普通に僕として行くわけだから男物で全然大丈夫だよね。学校だってトランクスタイプだし。
「お、お客様、何かお探しでしたか?」
「あっ、水着を買いに来たんです!
何にするか迷っていて⋯⋯」
「えーと、どうしてここに⋯⋯?」
「どうしてって⋯⋯男物を探してるからですけど⋯⋯?」
「男物を!?!?⋯⋯(ま、まさか噂に聞く男水着チャレンジというやつでは????そ、それはハレンチすぎます!!!!わ、私が正しい方向に導いてあげないと⋯⋯)」
「お、お客様?私が似合う水着をお選び致しますので、少々お待ち頂いてもよろしいでしょうか?」
「えっ?は、はい!」
何故か水着を選ぶのに迷っていると店員さんに声をかけられた。おまけに水着まで選んでくれると言われ、僕は待つ事に。
でも、一つだけ突っ込みたいのは⋯⋯
店員さんどこへ行ったの!?明らかに男物のエリアにいない気がするんだけど!?もしかしてバックルームとかに在庫があるタイプのお店だったのかな!?
そんな事を考えながらしばらく待つと、店員さんが息を切らしながら走って戻ってきた。
「お、お待たせいたし⋯⋯ました⋯⋯」
「だ、大丈夫ですか?」
「久々に走ったからなので⋯⋯大丈夫⋯⋯です」
息も切れ切れな状態で水着を持ってやってきた店員さん。
するとタイミングが良いのか悪いのか、華さんと綾野さんはもう買い終わったのか、こちらへとやってきていた。
「優希くん、どうかしましたか?」
「水着を選んでたら、店員さんが選んでくれると言っていたので待ってたんです!」
「て、店員さんが?」
「い、良い物を持ってきたので、ご確認ください⋯⋯」
そう言うと、店員さんは何点かの水着を手渡してきた。
「気に入らなければ、私にお返し頂ければまた売り場に戻しておきますので、ゆっくりお選びくださいね!」
そして、僕の手元に残った水着を見てみると⋯⋯
「「「女性用水着⋯⋯」」」
華さんも綾乃さんも水着を見て、一緒にそう呟く。
「あ、あのーもしかしてですけど⋯⋯」
「優希くん、女の子だと思われてたの?」
「でも僕はちゃんと男物の水着のコーナーにいましたよ?」
「⋯⋯あんまりこういうのは言いたくないけど、男水着チャレンジと思われてたとかあり得そうなの」
「綾乃ちゃん!?何を言い出すんですか!?」
「男水着チャレンジ?って何ですか?」
「言わなくても自分で調べちゃいそうですし⋯⋯仕方ないですかね?」
「簡単に言うと、女の子が男性用の水着を着てプールや海へ行くっていうチャレンジなの」
「ふぇっ!?」
「と言っても普通は胸の小さな女性や、ほぼ平らな女性がするってシチュなんですが⋯⋯あれ、リアルでやる人見た事ないですよ?」
「どうして勘違いしたのか謎すぎるの」
「妄想力豊かな人だったんでしょうか⋯⋯」
「と、とりあえず僕はどうすれば⋯⋯?」
「優希くんは普通の水着で大丈夫なんですか?」
「大丈夫ってどういう⋯⋯?」
「えーと⋯⋯上何も着なくても、大丈夫かって意味なんですけど⋯⋯これを聞く私の方が恥ずかしくなって来ました⋯⋯」
「普通の人って上着るものなんですか??
学校だと普通に上は脱いでますけど⋯⋯」
「ぐふっ」
「な“の”ォ“」
「えっ!?華さん!?綾乃さん!?」
「だ、大丈夫です⋯⋯」
「ゆ、優希くんは自分が欲しいのを選ぶべき⋯⋯なの⋯⋯」
「わ、わかりました⋯⋯」
「これは私達が返しておきますから、心配しないでくださいね」
「ありがとうございます!」
華さん達はそう言うと、水着を返しに歩いていった。
その間に僕は良さげな水着を買って、華さん達が戻ってくるのを待つ事にした。
♢
「華、この水着達、とてもセンスが良いの。
優希くんが着たらとても可愛いと思うの」
「奇遇ですね。私もそう思いました」
「でも優希くんは男物を着るっぽいの」
「男物を着るのは良いんですけど、私達、優希くんが上半身裸で耐えられるのでしょうか」
「血の海に沈む気しかしないの⋯⋯」
「あの、念の為、念の為ですよ?
これ、買っておきませんか?」
「全部買うの?」
「ね、念の為ですよ?」
「ふっふっふ、お主も悪よのうなの」
「決して別の意図があるわけではありませんからね!」
私達は決して悪気があるわけではなく、念の為に水着を買っておく事にしました。
⋯⋯帰ってから気付いたんですが、普通にラッシュガードとか買えばよかったと思ったのは内緒です。
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