258:コラボの後で
「ふぅ、お父さんお疲れ様!」
「あぁ、優希こそお疲れ様⋯⋯」
配信が終わった後、僕はお父さんとVCで話をしていた。
「まさか二人が一瞬で沈められるなんて思わなくてびっくりしたよ⋯⋯」
折角二人にお願いしたのに一瞬でやられちゃったからビックリしたよね。
「おい待て、あの二人用意したのは優希だったのか!?」
「⋯⋯ナンノコトカナー?」
「絶対優希だろ!?」
「まぁ、僕なんだけど」
「何であの二人を用意したんだ?あそこまで用意周到で」
「あの二人にお父さんのゆり状態を褒めまくったらお父さんがどんな反応するのか気になっちゃって⋯⋯」
「な、なるほどな?ってああいう風になるように誘導したのは優希だったのか!?」
「テヘペロ」
「クソォ⋯⋯やられたぁ⋯⋯
⋯⋯ちなみにどんな反応を期待してたんだ?」
「赤面したり、恥ずかしがったり⋯⋯とか?」
「それは優希だろ」
お父さんにそう言われてよく考えてみたけど、確かにそうかもしれない⋯⋯
「むぅ、でもお父さんがそんな反応したら新鮮だなぁって思って」
「ふふふ、そういう意味では俺の方が上手だったな」
「まさかノリノリになって全員沈めるなんて思わなかったよ」
「まぁ、それにしても良くウチのマネージャーに連絡出来たな?」
ん? 何かお父さんが勘違いしてるような⋯⋯
「お父さん、僕が連絡したのは、ナイトハルトさんと秋夜さんだけだよ?」
「え?」
「だからマネージャーさんが言ってたのはガチだと思うよ?」
「嘘だー」
「嘘じゃないよ!?」
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
「お父さん、僕は本当に嘘吐いてないからね!?」
「マジ?」
「本気と書いてマジだよ」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⋯⋯どうしよう⋯⋯」
「諦めてASMR収録したら?」
「マネージャーを毎日沈めればその分延期出来るんじゃね?」
「多分耐性ついちゃうよ?」
「耐性ついたらどうなると思う?」
「多分もっと要求が増えると思うかな?」
「だよなぁ⋯⋯」
お父さんは悩んだ様子でため息をついた。
「マネージャーを⋯⋯やるしか⋯⋯」
「物騒だよ!? と言うかなんでお父さんはそんなに嫌がるの?」
「いやだって⋯⋯なんか嫌じゃん⋯⋯」
「そう?」
「むしろ優希はよく平気だな⋯⋯」
「慣れたから、かな?」
「優希は強いな⋯⋯やってる最中は良いが、終わると冷静になって俺何やってるんだろうってなるんだよ⋯⋯」
「うーん、分からなくはないけど⋯⋯
楽しみにしてる人も多いんだし、やってみたら良いと思うんだけどなぁ⋯⋯」
特にお父さんなんかはチャンネル登録者も多いし、本当に待っている人がいるのならやってみるのもファンサービスになると思うんだけどな⋯⋯
そう考えていると僕に名案が浮かんで来た。
「あっ、そうだ!」
「いきなりどうした、優希」
「お父さん! ピヨッターでアンケート取って見たら良いと思う!」
「ピヨッターでアンケートか⋯⋯確かにピヨッターの方までわざわざフォローしてくれてる人が聴きたいと思うのなら、需要があるって証明にもなるか⋯⋯」
「そうだよ! だからアンケートでいらないの意見が多いようならマネージャーさんにこう言う結果になったからやらないって言えば良いんだよ!」
「確かに、優希の言う通りだな!
今からピヨッターで投稿してくるわ!」
「うん! 僕はそろそろ寝る準備しようかと思うから、お父さんまたね!」
「おう! しっかり寝ろよ!」
「うん!」
そしてお父さんとのVCを切った僕は、お風呂に入って寝る準備をすると、すぐに眠りについてしまった。
次は先輩とのWCS日本代表選考会、楽しみなようで、多くの人の目に触れる機会にもなるから少し不安だなぁ⋯⋯
♢
「優希の言う通りにピヨッターに投稿してっと⋯⋯」
俺は優希とのVCを切った後すぐに、ゆりのASMRが本当に必要かどうかのアンケートをピヨッターに投稿した。
俺のピヨッターは100万人のフォロワーがいるから、その内の10万人くらいが反応してくれればある程度必要かどうかが分かるだろう。
そして、期限を1日に設定して俺は家へ帰る準備を始めた。
「んー、って結構反応早いな」
準備を終える頃には既に1万人ほどの人がアンケートに答えてくれていたようで、数字を見ると、ゆりのASMRが欲しいが9割を占めていた。
「⋯⋯たまたま、だよな、うん」
俺は家へ帰ることにした。
ピヨッターのアンケートの事を忘れるように。
そしてそれから電車に乗り、岐阜駅まで向かうと、希美が迎えに来てくれていた。
「こんな時間に迎え頼んで悪いな」
「大丈夫ですよ! 私もさっきまで優斗さん達の配信見てましたから!」
「えっ」
「いやー、楽しみですね!」
「何が楽しみなんだ?」
「白姫ゆりです♪」
「いや、あれは⋯⋯」
「今凄いですよ!」
「何が凄いんだ!?」
「ピヨッターの優斗さんのアンケートツイートが10万人反応して白姫ゆりASMR欲しいが95%なんですよ! これは収録不可避です!」
「嘘だ、ろ⋯⋯?」
「本当ですよ! あと、これは相談なんですけど⋯⋯」
「な、なんだ⋯⋯」
「今日の夜は⋯⋯ゆりさんモードでお願いします!」
「いやそれはやめた方がいいぞ」
「な、何でですか!?」
「あれ、自己暗示もかけてるから、あんな状態で耳掃除したら血噴き出すと思う」
「あぅ⋯⋯痛いのは嫌なので諦めますか⋯⋯じゃあ終わった後に耳元で囁くだけでいいので⋯⋯」
「何でお前までゆりにハマってるんだよおおおおおおおお!!!!」
「優斗さんに嫌いな部分がある訳無いじゃないですか!!!!!」
「⋯⋯そ、それはありがとう」
「あー! 優斗さん照れてますねー!」
「て、照れてないぞ!」
「私の目を欺く事は出来ませんよ?」
「くっ⋯⋯」
そして俺と希美は家へ向かいながら久しぶりにイチャイチャしていた。
♢
「⋯⋯ハッ!? シュバルツさんのショタボ!?」
「⋯⋯あれ? 夢ですか?」
「めっちゃ可愛い声だったのに⋯⋯頼んだら出してくれますかねぇ⋯⋯」
「と言うか何で私休憩室で寝てたんだろ⋯⋯」
「配信も終わってるっぽいですし、私も帰りますか⋯⋯」
♢
秋夜「」
ナイトハルト「」
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