おでかけ
「さぁ。出かけよう!」
そんなこんなで、突拍子もなく遊ぶことになった。
お着替えして、玄関のドアの真正面。
現在時刻は午前十時。
夏休みのしおりには、午前十時以前に外出したら校則違反的なことが書かれていたから、この時間に出たんだけど。
……前お姉ちゃん、春休みの時「しおりに書いてることは守らなくていい」みたいな事言っていたような……。
普通守らなきゃいけないよね。
私は優等生だから普通に守る。偉い。
「出かけるけど。……どこに?」
「まぁ、どこか」
太陽から逃げるように日陰に隠れているお姉ちゃん。
私と遊びたいって言っていたのはお姉ちゃんの方だろと思いつつ、その姿に私は目がひかれてしまう。
まぁ。なんというか、今日の服も似合ってらっしゃる。
白いブラウスとスカート。
白い大きめの帽子が顔に影を作っていて、どこかクールな様相を思わせる。
さらけ出した白すぎる肌は見るからにすべすべ。
さっき日焼け止めを塗ってたとはいえ、少しでも太陽の前に晒したらその白さも失われてしまいそうだ。
オシャレな日傘を持たせたら絵になりそうだなぁと妄想もはかどるはかどる。
おまけにおっぱい。大きい。最近、このことは意識することになったけど。
意識するようになってから、大きさが際立っているような。
対して私は、半袖Tシャツに半ズボン。
どこかズボラな感じかもしれない。
胸のでっぱりはお姉ちゃんに比べて少ないけど、好きな服いっぱい選べるから、でっぱりは少ない方がいいもん。そうだもん。
別に嫉妬なんてしてないもん。そうだもん。
「て、てんちゃんっ。……そんないやらしい目で見つめないでよ」
「み! 見てない見てない!」
やばー。
お姉ちゃんのその美貌についつい見とれてしまっていた。
美貌(おっぱい)。
「目で犯されてる感じだった」
「……犯すって。どこでそんな単語を覚えたのか」
「すごく健全なアニメで覚えた」
「いや、そのアニメ絶対不健全」
……このやり取りに圧倒的なデジャヴを感じる。
けど、まぁいいやと、ドアを閉めたことを確認した。
バッグの中を最終チェックする。
と言っても、持ってくものなんて財布以外ないとは思うけど。
……そういえば、お小遣いがあまりないな。
今度、小遣いの補充をお母さんにねだろう。
思考が転々しているけど……お母さんといえば。
お父さん、最近血色が良くなった気がするなぁ。
やっぱり、お姉ちゃんが学校に行くようになったからだよね。
……相も変わらず、お姉ちゃんはお父さんのこと避けてるっぽいけど。
「……てんちゃん。何か考え事?」
「あ! いいや。何でもない!」
「ふーん。そ」
お姉ちゃんは、何も言わずに私の手を握ってくる。
ちょっと驚いて、だけど私も自然と握り返す。
もう見慣れたここの住宅街を、私たちは歩く。
今はどこに向かっているのだろう?
分からない。
だから、お姉ちゃんに身を委ねながら──。
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