第97話

キョトキョトと辺りを見回していた瞳が、ピタリと止まる。

んっ?

俺の方を見ているような…


ゲッ!目が合った!

視線を外せんぞ?

そんな時、あるフレーズが、ふいに脳裏をよぎる。


目と目で通じあう、そんな仲になりたいわ♪


って、喧しいわっ!


そう思ったら、驚いたように瞳が閉じた。

あれ?

普通のリストバンドの裏側だな?

んだぁ?


不思議に思い、リストバンドの裏側を触ると…


ブンッ!っう感じで、目の前に板が現れた。

はぁっ!?


半透明な板が宙に浮いており、何行も線が…いや、文字?…文章か?


んっ?読める箇所があるな。

なになに?

[読める箇所を触ってください]


え~っと、触れば良いのかな?

取り敢えず触って…

ゲッ!

間違えて上のを触っちまったぜっ!

どうなんだ、これ?


そんなん思ってたら、板の上へ別の板がな。

[Ε∬ζ‰∂∵ΜЩф⊿∮

  〇      ×]


意味は分からんが、兎に角、×で。

そしたら、小さい板が消えたから、今度は慎重に選んだよ。


そしたら、また小さな板が現れてな。

[間違いありませんか?

  〇     ×]


そう書かれていたから、○を選択したんだ。


そうすると、すべての板が消えて、新たにいたがな。

[初めまして、マイマスター]って文字が表示されると同時にな。


『初めまして、マイマスター』っう声がっ!


「どっから声がっ!」

思わず声をあげると、ロンダルトさん達がビックリしている。

なんだ?


『落ち着いてください。

 現在、マスターにしか聞こえておりませんので、皆様、驚いておられます。

 外部音声へ切り替えますね』


っう声の後。


「改めまして。

 初めまして、マイマスター。

 統合インターフェース〈β〉と申します」


そんな声が、聞こえたんだが…どこから聞こえてんだ、これ?


おれが辺りを見回していると、ロンダルトさん達も同様にな。

今度は聞こえているみたいだ。


「今の声は、いったい、どこから?」

ロンダルトさんが困惑気味に。


したらな。

「初めまして、皆様。

 私、ディサピィル・インターフェースのタイプβと申します。


 この度はマスターのアーマーへ統合されました。

 マスターの支援を行いますので、よろしくお願いいたします」


さっきの目玉かっ!?


「これは丁寧に痛み入る。

 しかし説明書には思念指示型との記載があったようだが?」

そう告げられて、コヤツがな。


「マスターに拒否されました」っと。


えっ?いつ?


「俺、拒否したっけか?」

覚えがないんだが?


「さきほど。

 「目と目で通じあう、そんな仲になりたいわ♪」

 っと、規定通知いたしましたら、

 「って、喧しいわっ!」

 拒否されまして…」


「ちょっと待てっ!

 さっき、脳裏にいきなり響いたフレーズか?

 分かるかぁっ!!」


コイツ作ったヤツ!出て来いやぁっ!


「システム通りに発せられており、選択肢はありませんので。


 しかし…起動される日が来るとは思いませんでした。


 ディサピィル種創種は、精霊因子にて創種させるという、無謀プロジェクトとされておりました。

 擬似的にディサピィル種を造り出す、ディサピィル・トーカー創造プロジェクトも不可能と、当時は言われていたものです。


 まぁ、白痴王子と妄狂伯爵が組んだプロジェクトですから…

 なのに、なぜマスターは、両方の不可能をクリアーしているのでしょうか?


 不可思議です」


次は俺の存在の否定か?

喧嘩売っとる?


「でぇ、お前はさぁ、なにができるんだ?」

「インストールされている機能なら、ご指示いただければ実行可能です」っと。


「その機能が分からんのだが?」

いい加減にイライラしつつ告げると。


「こちらになります」って、目の前に板がな。


ズラズラズラァ~って、一覧が表示されたんです。


「多すぎて、読む気になるかぁっ!」

思わず告げたが、時計機能があることが発覚。


懐中時計の用な盤面を板へと表示するタイプや、数値で時間を表すタイプなどなど。


表示方法からデザインまで色々と選べるみたいだ。

しかも時刻は自動調整され狂わない。

移動距離により、現地に合わせた時刻へも自動調整なんだとか。


どうも遠距離を高速移動すると、移動先との時差が発生するらしい。

いや、今の時代には不要じゃね?


カウントダウン・タイマーやストップ・ウォッチなどは便利だと思うが…時刻により他機能を起動するとか…理解が…


俺、使いこなせるのか?これ?

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