第82話
ロンダルトさんの屋敷へ着くと、にこやかなサマンサさんと…膨れっ面のミーシャちゃんに出迎えられた。
えーっとぉ、ミーシャちゃん?
なんで怒って…あっ…
「えぇっとぉ、ミーシャちゃん。
ただいま…
行ってきますしてなくて、ごめんな」ったらな。
仕方ないって感じでな。
「お帰りなさい。
許してあげるけど…」って、ジト目を。
俺は後ろ頭を掻き掻き。
「ごめん、ごめん」っうしかな。
その後でサマンサさんにもな。
「なんとか帰って来れましたよ。
また、お世話になります」って挨拶を。
「この里での実家とでも思えば良い。
ダリルは、それだけのことをしておるし、私ら夫婦からしてみたら、実の子供にも思えるでな。
だが…ミーシャは、やらん!」
「最後で台無しなんですがぁっ!
それに俺にはユンファてぇ嫁がおるわいっ!」
まったく、このオヤジは…
まぁ、そのお陰で、さっきの雰囲気は吹っ飛んだけどがな。
わざと?ではないだろうなぁ~
天然オヤジ、おそるべし!
時刻は食事時よりも少し遅い頃合いか?
食事の用意は出来ており、仕上げるだけとなっているそうな。
サマンサさんが厨房へ向かい、俺たちは食堂へとな。
食堂に着き席へ着くと、待つこともなく食事が運ばれてきた。
いや、サマンサさん?
仕上げるだけにしても、早すぎないっすか?
夕食は相変わらず絶品で、デザートとは至福でございました。
えっ?詳しく?
……… ……… ………
教えてあげないよ、ジャン!
さて、風呂だ、風呂だ。
1っ風呂浴びて寝んべぇ。
つぅことで、風呂へ浸かっとります。
ミーシャちゃんは、サマンサさんと一緒に女風呂ね。
なのでロンダルトさんと、お話を。
あまり子供に聞かせたくないんでね。
「この里って、実は上手くいってなかったりします?」
「なぜ、そう思うのかね?」
なぜって…
「あきらかに、里長が仕事しているように思えないんですけど?
最近まで嫡男共々、呪われて寝込んでたんですよね?
里の危急存亡の時期に、何もしてない訳ですが…里長の奥さん達が代理で?」
「いや、私が代行して、皆を率いたな」
ヤッパリか…
「あちらでは、平和な時期が続いていたみたいですけど…里長として、なにかしてたんですか、アイツ」
そう尋ねたら、ロンダルトさんは無言に。
その無言は肯定と取りますよ?
「俺の予想ですけど…
受け継いだ地位だけで、なにもせずに威張り散らしてたんじゃないんですかねぇ。
奥さん多いけど、権力で無理矢理もあったりとか?
もしかして、家宝を取り上げたりとかも?」
ロンダルトさんって素直。
眉が質問の度にさ、ピクピクッてね。
「さてな?」
否定はしないと…
最低野郎なようですなぁ~
ああいう輩は耐性低く、簡単に暴発するものだが…
こちらからは仕掛けないが、仕掛けられたら別だ。
まぁ、考える頭があれば、せんだろうがね。
「それよりもだ、風呂に入るのにリストバンドは外さないのかね?」
あからさま過ぎません?
まぁ、話題を変えたいなら変えますけどね。
「これ、外せないんですよ。
せめて、指輪みたいに隠蔽できれば良いんですけどねぇ」
困ったものです。
「地肌に黒のリストバンドは、流石に目立つな。
ダリルは黒系統の衣服を纏うようだから、服を着れば目立たぬのか…」
「斥候職ですからね。
暗灰色系か薄暗い黒系統が基本ですね。
このリストバンドも灰色掛かった黒といった感じで、こんなばしょでなければ目立たないですし」
まっ、職業的な性ってヤツで、目立たないのが基本だからな。
無論、影や死角などの潜みやすいところでだがな。
「実は、このリストバンドって、以外と便利だったりするんですわ。
この刺繍を触れば弓が、こちらの刺繍を触れば小太刀が現れます。
その間にある刺繍が鎧ですが…」
そう告げると、見せていたリストバンドについてロンダルトさんがな。
「おや?
この刺繍は白くなかったかね?」ってね。
「おそらくなんですが、鎧が使用できない間は、刺繍の色が暗赤色になるみたいですね。
使用可能になったら白くなるんでしょう」
そう告げるとな、思案したように。
「文献には記されてはおらなんだのだが…ふぅ~むぅ」ってるな。
「そもそもリストバンドのこと自体が書かれてないんでしょ。
いまさらですよ」
抜けが多くね、その文献。
そんな風に思いましたよ、俺は。
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