第53話

その後は、トトを寮へ送り、ランラを彼女のアパートへと。


「あら?

 ご近所さん?」


ユンファが言う通り、ランラのアパートは、俺達が住まう裏町にな。


「ここら辺って治安が良いらしいのよ。

 だから女性向けアパートが多いらしいわ」


などとな。

「それって…理由知って、ここに決めたのか?」っと、思わず確認を。


「えっ?

 理由なんてあるの?」

そう不思議そうに尋ねるのでな、思わず溜め息を。


「この裏町は、俺達傭兵系フリーランサーの溜まり場だ。


 元々住んでいたのは俺だけだったんだがな、連れが俺を仕事や遊びへ誘うのに不便ってぇ引っ越して来てなぁ…

 連鎖的には引っ越すヤツが増えたんだわ。


 当時は裏家業連中も居てな、ここら辺を仕切っていたから、治安は悪かったんだぞ。

 ヤツらが、俺達にチョッカイ掛けて壊滅したから治安が良いんだよ。


 アイツらはバカだなら、討伐許可持ちの俺達に武力行使すれば、どうなるのか知らなかったみたいでなぁ。

 治安維持部隊を相手にするノリで壊滅させられたっう訳だ」

そう説明するとだ。


「だから治安が良いだね」ってか?


だから俺は頭を思わず掻いてから告げる。


「つまりぃっ!

 俺達傭兵系フリーランサーが消えれば、治安がどうなるか分からんってことだぞ。


 別に雇われて住んでる訳ではないしな。

 現に俺達は引っ越す予定だしな」


「えっ!

 そうなの?」って、ユンファが驚く。


「なんでユンファが知らないのよっ!」

いや、そんなん言われてもなぁ。


「仕事の報酬で家が貰えることになってんだわ。

 その家は依頼主が選定中でな、まだ決まってないんだと。

 だからユンファには黙ってたんだよ」ったらな。


「なによ、その怪しげな報酬は?

 その依頼主って、信用できる訳?」っと呆れたようにな。


「大丈夫だ」

「なによ、その自信は?」


「依頼主はユンファのお爺さんだかんな」ったらな。


「ああ、先代様なのね」って納得を。


だから言ったのよ。

「違うぞ」ってな。


「はぁ?

 ユンファのお爺様っていったら、先代様でしょ?」

分け分からんっう感じでな。


ユンファの爺さんは、2人おることに気付いてないみたいだな。


「先代様はユンファの父さん、ガリアン様の父さんである訳だ」

「そうよ」それが?っう感じでな。

「じゃあ、お母さんであるユリアーナ様の父さんは?」


「あっ!

 でも…聞いたことないわね。

 どうして教えてくれなかったの?」ってユンファに。


「えっ?

 私も知らなかったもん」ってます。


「はぁ?

 アンタが知らないって、どう言うことよ!」って、ユンファに迫るのでな、代わりに俺がな。


「大人の都合だ」ってね。


「いや、大人の都合って言われても…」

「なにせ先王様だかんな」

「なにが?」

うん、伝わらなかったか。


「だから、ユンファの爺さんで、依頼主が先王様なの!

 お分かりかね?


 だから依頼主が怪しいって言うのは、先王様が怪しいってることになるんだよ。

 流石に問題はないだろうよ」ったんだが…


「ごめん、今日は酔っちゃったみたい。

 送ってくれてありがとう」って部屋へ入っちゃったよ。


現実逃避したな。

分からんでもないが…

明日起きて思い出したら、混乱すんだろーなぁ~


その後は、ユンファと一緒に自宅へとね。


ナイトファイトクラブに勤しんだり、勤しんだり、勤しんだり…

勤勉だなぁ、俺達。


そんなこんなで一夜が明け、疲れはないが気怠い気分にて、朝食は作らず外食に。


ウイユ・ドゥ・シャへと赴きモーニングを。

この珈琲が目覚めの1杯として、もうね、堪らんわいっ!


モーニングをユンファと共に堪能し、教会へと向かう。

なぜか爺さん…先王様とな。


なんで俺達よりも早くウイユ・ドゥ・シャに居るんだよっ!って訊いたら…


「んっ?

 ロンエンターラの所で世話になっとるからじゃが」っうことをな。


いや爺さんさぁ…それ、ロンエンターラさんに迷惑だからね。

自由な人だなぁ…


ユンファと2人なら、ユンファを抱き抱えて移動ができたんだが、流石に爺さんが居ては無理だ。

大人しく辻馬車へ乗りましたよ、ええ。


そして教会へと移動。

ユンファを教会前にて見送ったので、こちらの用事へとな。


さて、頑張りますかねっ!



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