第42話

ユンファに対する新たな事実を知った訳だが、さらにな。


「王や領主と契るシスターは、神々の祝福を受けし者でな、多大たる魔那を宿し者とされておるのじゃ。


 そして我が国の王公貴族は神々の血を宿し者でなければならぬ。

 神の祝福を受けしシスターと契る者が神の血を引かない場合…その者は契る前に灰と化す。


 そして契ったシスターは、王公貴族より神の力を分け与えられ、より高みへといざなわれると言われておるな。


 そして、そんなシスターより産まれし子は、神の血を宿す神の子としてあがめられる。

 また、それだけの力も宿しておるのだよ。


 ユンファの場合、神の子を両親に持つため、膨大な魔那を身に宿しておるでな。

 一般の者が結ばれようものなら、即座に塵と化すであろうなぁ。

 そなた、その覚悟はあるのか?」っと、そんなことをな。


いやいや、既に、いたしてますが…なにか?

っか、ユンファと、いたすには資格が必要であり、なければ死ぬと?


「なら、成して死ななければ、資格ありっと、なる訳ですね」っと告げたらな。


「うむ、そうなるな。

 だが、早まるなよ、坊主。

 焦って成せば…死ぬぞ」


脅したつもりなんだろうけどさ。


「じゃあ、既に関係を持つ俺達は、神に許されているっと言う訳なのですね?」ったたよ。


「なぬ?

 既にユンファとは、そのような?」って確認してくるからさ、頷いた。


「ならば問題はない。

 坊主…いやサイガは、ユンファと共にありたいのか?」

俺を、ジィィッと見てな。


「正直、直ぐにでも所帯を持ちたい。

 既に共に暮らしているしな。


 それに俺は危険な仕事を生業としていて、明日をもしれぬ身だ。

 だからこそ、ユンファとの間にかすがいが欲しいんだ」


ウォルフ爺さんの目を真正面から見て告げる。

そしてな。


「だが俺は斥候職なんだわ。

 攻撃も防御も低いかんなぁ。

 ユンファの父さんと兄さんを相手に、避けずに立ち会いなんぞしたら助からんのです。


 恐らく俺の戦い方を、あの人達は卑怯と断言するでしょうね。

 俺の力を認めず、ユンファとのことも許さないでしょう。


 お2人共に教会では高い身分ですので、俺達が夫婦の誓いを行おうとすれば邪魔されるでしょう。

 だから最悪、ユンファと一緒に旅に出る話しになってるんですよ」


そう、2人で相談し、ユンファのお母さんであるユリアーナ様にも告げてあるんだ。


ユリアーナ様は、

「早まらないでね。

 なんとかするから」って言ってたが…枢機卿補佐の身であるため、町に居ない方が多いかんなぁ…

正直、あまり期待してなかったりする。


「はん?

 既にユンファと結ばれ将来を誓っておるじゃと?

 ユリアーナが許可し、教会公認?

 それで夫婦めおとになれぬ訳あるまい。


 確か…明日、ユリアーナが町へ帰る筈じゃてのぅ。

 この度はフォリゾン・エルフへ会いに、枢機卿と教皇様が同行なされておった筈じゃ。


 ふむ、明日、夫婦の義を行うでな、ユンファへ伝えておくと、ええ」っとウォルフ爺さんが告げるとな、空かさずマスターが…


「素晴らしい報酬の前払いでございますね」っうことを。


ウォルフ爺さんは意味が分からなかったのか、一瞬ポッ~カンっと。

そして…にたり。


っ!やられたぁ!


「ほうじゃのぅ。

 最高の報酬じゃてな、のう婿殿。

 むろん、最初の報酬と屋敷の件も変わらぬからの。


 しかし…隠居して曾孫と過ごす暮らしかえ。

 旧妃へ伝えたら奥の院から飛んで来るじゃろうての。


 なにせ城ではシキタリが色々とあり、子や孫を普通に構うことも侭ならんでな。

 隠居の身にてユンファの子なれば、一般的な爺婆でおれるでの」


いや、まだ仕込めてないし…

気が早すぎっしょ。


だが…マユガカの巣行きは、決定のようです。

っか避けれません。


まぁ…ユンファとの仲が進展するなら良いかな。

ついでに若返りの薬でも飲むか。


ユンファが19歳で、俺が25歳。

若返りの薬が1口で5歳若返るから1歳上になる訳か。


しかし…9歳になったばかりの頃に徴兵され、この国へと渡ったのが10歳だったか…

生きるのに必死だった15年、まさか所帯が持てるとは…

頑張るかね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る