第18話 実験・・・トライ&エラー

街には、もう少し魔物の素材を集めてから降りようと話した。

午前中は狩りと採取をして、

帰ると、俺は色々な実験をするようになった。


草の効果について俺の予想通りの効果が表れていて楽しくなってきたのだ!


ヨシの実を潰して油の採取から始まった俺の実験教室。

とても楽しい・・・。

夏休みの自由研究のような感覚・・・。

丸一日程かかって、

僅かながら、一瓶ほどの植物性油が取れた。

ヒッポ草、ハイグレナ草をペースト状になるまで潰し、

そこに油を少し混ぜ、魔石の粉と、ポーションのカスを、

一緒にゴリゴリとすり合わせていく。

適度に油の量を追加しながら、

すり合わせていくと黄緑色のクリーム状のものが出来上がった。

軟膏だ!

色んなハーブが入ったハーブティーの匂いがする・・・。

まあいい匂いだ。

ちょっとした切り傷や、アカギレ、皮膚疾患に効果があるだろう。

爺ちゃんの手はアカギレや日々の作業でゴワゴワしていた。

わざわざポーションで治すまでもないと我慢していたのだろう。

一応ポーションはいざと言うときの高級品である。

アカギレ程度には使わないのがこの世界の常識なのだろう。


「爺ちゃんこれ塗って上げる」俺


「おお!なんじゃ?気持ちいいな・・・ありがとうレオン」ポール


夜寝る前に爺ちゃんのてをマッサージしながらクリームを塗って上げる・・・

そして、朝にはアカギレや皮膚のゴワゴワが治っていた!

やったー!成功だ!


「レイン!凄いなこれは!!少し塗っただけで!」ポール


と爺ちゃんも喜んでくれている。


後はシャンピ草で、解熱鎮痛薬を作りたい。

ポーションと同じ手順でシャンピ草と魔石を使って作ってみた!

ポーション化するかな・・・。

出来た!

透明な青色の液体・・・!

でも本当に解熱鎮痛効果があるかは使ってみないと分からない。


魔石の粉で薬草の効果を引き上げる、

というのがポーションの原理と書いているから、

恐らく、解熱鎮痛効果が相当引きあがっているはずだけど・・・。

実験ができないから、少量ずつ使ってみないとな・・・。

解熱鎮痛ポーションを入れた瓶の側面に、注意書きを張り付ける。

間違って爺ちゃんがガブガブ飲まないようにだ!

身近な素材でこれだけそろえることができれば上出来だろう。


作りたい物を終えると、

今度は魔法操作の練習をする。


実は雷魔法が一番使いやすい。

魔狼達を気絶させた時から、魔法の行使に微調整が出来るようになった。

微弱な電気信号をみて、魔物の体内の様子などが分かったり、

魔力の動きや、魔石の位置だったり、

調子がいいとどっちに動こうとしているかも感じ取れた!

また、魔物や人の頸椎の神経に電気でブロック入れ、

動けなくすることも出来た。

あまり強くやると、全身機能が停止して死んじゃうんだけど・・・。

そうやって死んだ魔物を見て、人での実験禁止と爺ちゃんに言われた!

そりゃそうだ!w


死んだ魔物の脳内に電気信号を与えて動かすことも出来たが、

原理の理解できない爺ちゃんが、

驚き過ぎて直ぐに首チョンパしたもんだから、

実験が中止になった。

そりゃ死体が動き出したら、ビックリするじゃろう!

と言ってたね・・w


水魔法は水を出したり、霧にしたり、お湯、氷、と変化させることで、

なんだか雷の次に使いやすい魔法だった。


しかし、風魔法には苦労したな・・・。

ソナーの時は雷と一緒だったからかスムーズにイメージが広がったけれど、

風単体だと、イメージと現象が上手く結びつかなかった。

元々風の概念というか風の巻き起こり方とか様々なケースがあり過ぎて、

イメージがぼやけてしまうのが原因かもしれない。

自然界としての現象が大きすぎるんだよね。

かまいたち!ひゅ~ん・・・ね、無理だよね・・・。


あ~あ、扇風機とかジェットエンジンとかでビュウ~ンゴゴ~っ・・・?

そうか!具体的な装置を思い浮かべればいいんじゃね?


よし・・・扇風機!ブー―――ン!!!おお風が!上手くいったぞ!!!


ヤッターヤッター!そして調子こいたよね~


ジェット!!!でやらかした。

ええ、ええ、、、ぶっ飛びましたとも!!

それはそれは盛大にね・・・。

空高く舞い上がり揺れ落ちて全身打撲・・・

爺ちゃんにはしこたま怒られたけど、いい実験にはなった!


全身が痛くて、熱も出ていると言う事もあり、

一旦、ポーションを使わずに、解熱鎮痛ポーションの実験をしたのだ。

ケガの功名という奴ですね?

どうか俺の予想が当たっていますように・・・。

まずは小さじ一杯のポーションを飲んでみた・・・

うわ!!

劇的に効果があったよ!!

俺の小さな体でこれなら、大人は大さじ一杯ほどで効果があるだろう!

結構、コスパも良いかも!

用法容量の紙に目安の量を書き足しておく。


「しかし、レインは前世で医者じゃったとはな・・・。」ポール


「意外?」俺


「いや、凄い知識だと思ってな。

こっちの医者は大概お決まりのポーションを飲ませて終わりじゃからな。

こんな風に痛みにはこれとか、

傷にはこれとか分けられても居ないのじゃよ。

ポーション自体は手間がかかるから高級品じゃしの。

それに、この軟膏というのは少量で効果が継続してくれるのがいいの。

少しの量で広く塗ることができるし、これなら気軽に使るよ!

ありがとうな!」ポール


「へへへ照れる・・・。

しかしこの薬草の本の著者は、色んな薬草の効果を調べているようだよね!

そうとう変わり者扱いされてないかな?」俺


ガルシア・ウェールズさんか・・・。


「おそらくそうだろうの。

むしろこの本の内容を信じていない者が多いかもしれんな。

安くで買ったものじゃったし」ポール


「そうなんだ。どこも先駆者はそうなる運命か・・。」俺


傷は、ポーションであっという間に治る世界なのだ。

病気もケガの延長と考えられていても不思議ではないし、

ポーションで治らないのは寿命と、言われているらしいし・・・。

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