第17話 薬草の本
俺って、
異世界の言葉も話せるし、文字も読み書きできてるよね!
不思議じゃなかったけど、不思議じゃん!て気付いた!
おそっ!!て言わないでよ・・・。
小屋にある薬草の本を見た時にふと気付いたんだよ。
俺、この世界の言語知ってる!
レインの記憶なんだろうか・・・。不思議な力の影響なんだろうか・・・。
って・・・。
でも助かるから、どうでもいいかってことで切り替えた。
考えても分らんし。
薬草の本を見つけてからは、
薬草の本が楽しくていつも見ている。
そして本に載っている薬草がこの辺に何種類かあることを発見した。
ハイグレナ草:ポーションの原料の薬草。
ピーノ草 :泡の出る草。肌に泡を乗せると美白効果もある。
ヒッポ草 :ジュクジュクした傷に効果のある薬草。(おそらく殺菌効果)
ジャンピ草 :痛みを和らげる効果がある。(おそらく解熱鎮痛効果)
ヨシの実 :油の取れる木の実。
上記の採取した植物の効果を俺なりに解釈して実験することにした!
泡の草はピーノか!固形石鹸に出来ないかな・・・。
油に強アルカリ溶液で固まるはずだけど・・・。
強アルカリ・・・石灰とかないかな?
「爺ちゃん?白くて結構脆い石とか岩盤とかこの近くに無い?」俺
「白くて脆い石か・・・
お!あるな!ちょっと行ったところの崖の所に、
白い脆い岩盤がある」ポール
「行ってみていい?」俺
「良いぞ!」ポール
やった!あった!
石灰発見!
これで石鹸造れるわい!ヤッターヤッター!
家に戻るとさっそく、
オークのラードと石灰を使って石鹸づくりを始めた。
石灰は細かく砕いてすり潰し、そこに水を加えてこれもすり合わせる。
しばらくすると石灰が沈殿して、白い濁った所と透明な所の二層になる。
透明な所が、強アルカリ溶液なのだ。
弱火で溶かしたラードの中に、
強アルカリ溶液を少しずつ加えながら弱火でかき混ぜ反応を見ていく。
おお!良い反応!
段々かき混ぜる手ごたえが重く固くなって、
固いカスタードクリームの様になった。
火からおろしそこにピーノ草とヒッポ草もすり潰して混ぜこむ。
予め用意していた、大きな葉で作った器に、
この液を入れて固まれば出来上がりだ!
沈殿している石灰は再利用する。小屋の壁に漆喰として塗るのだ。
石鹸は完全に固まるのに1週間程かかったが、上手く出来上がった!
「凄いのレイン!
これが石鹸か!泡立ちが草よりもいいな!
泡も細かくてモッタリ滑らかで気持ちいいな!」ポール
「そうでしょう!
キメの細かい泡だと汚れも沢山落ちてくれるから、
爺ちゃんの白い肌ももっと白くなるね!」俺
「がははは!ワシはこれ以上白くならんでもいいがの!!
でも清潔を保てるのは良いの!
あの時、風呂に入った以来、汚れてると気持ちが悪くてな!」ポール
「領主だったんだから、風呂くらいなかったの?」俺
「王族じゃあるまいし、風呂などあるわけがなかろう!」ポール
「そうなんだ、結構厳しい現実・・・。
それにしてもあの薬草の本いい情報沢山あるね!」俺
「レインの前世の知識がないとこれは出来なかったんだろうが、
確かにその本は役に立つな。
ポーションもそれのおかげで作れたしの。」ポール
確かに。
この本には簡単なポーションの作り方まで載っている。
「ねえ、こういった本て、街に行ったら沢山ある?」俺
「見たいのなら、図書館にでも行くか?
学校にでも通ってみるか?」ポール
「図書館で!学校は今更だから・・・。」俺
「そうじゃな。お主は異世界の記憶があるからの。
学校は常識を学べるし入学しても良いとおもうがな!
編入でいけるじゃろうし。
まずは今度、図書館にでも行ってみるか」ポール
「うん!やったー」俺
爺ちゃんに抱き付いて嬉しさを表現した!
「ふぉっほっほ!」ポール
嬉しそうだ!
爺ちゃんのこの笑顔、守っていきたいな・・・。
そう自然に心に浮かんだ感情だった!でもなんかレインを感じる・・・
君かな?
でも俺も確かにそう感じたよ!
君か俺か分からないけど、俺は今レインなんだ!
この爺さんが唯一の肉親だ。
大切にしたい。
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