第23話 終わらぬ思考、視えない答え。
さて……どうしたものか。
俺は困っていた。困り果てていた。
断ると大見え切ってしまったが……実際問題どう断ればいいんだろうか。
俺は悩んでいた。悩み疲れていた。
片瀬に想いを告げてもらうのが理想的だ。そうすれば俺は振るだけでいいから。が、彼女がアクション起こすのをじっと待っているのがどうにも。長期戦になるのが目に浮かぶ。
現実的且つ効率的にいくのであれば、俺から訊ねるのが一番だろう。『俺のこと好きなのか』的な感じでいって、『はい』と返ってくればごめんなさいで終わらせられる。相当な勇気が必要になるが。
しかもだ、そもそも前提が違っていたら……つまり、片瀬が俺を好きじゃなかったとしたら最悪だ。
前者の場合は待ち続ける地獄。これは確実にそうなってしまう。
後者は勘違いやろうとネタにされ、悪意の
諸々を考慮すれば前者の方がまだマシだ。だが、片瀬にすべてを委ねてしまうとどうしても時間の問題が懸念として残ってしまう。長引けば長引くほど悪い、また柊が首を突っ込んでくるかもしれないし……………………。
「はぁ…………」
俺はソファーにもたれかかって天を仰ぐ。家には誰もおらず、リビングは静寂に包まれている。
何度目だ? こんなこと考えるの。
あの日、柊を一方的に突っぱねてからというもの、俺は考えてばかりだった。
だけども方針は一向に決まらず、無駄に焦燥感だけが募っていく毎日。
なにをしようにも身が入らず、いっそ考えなければいいと思考放棄した時もあったが、それはそれで落ち着かなかった。
さっさと終わらせたいのにそれができない。元々、器用な方じゃないという自覚はあったけど、まさかここまで不器用だったとは。正直、自分でも驚いている。
「……………………」
あれから柊とは一切話をしてない。まあそれが普通で、これまでがおかしかったんだけども。
柊自身の都合と、それから片瀬の件があったから俺達は言葉を交わしていただけであって、その二つがなくなった今、一緒にいる意味もなくなった。
本来の関係に戻ったということだ。ただのクラスメイト、同じ空間にいるだけの赤の他人。電車で同じ両に乗ってるだけのようなもん。
一方で片瀬とはまだLINEを続けている。
メッセージによる告白があるかもしれない、そんな淡い期待を込めてやり取りしているが、今のところはたわいもない話ばかり。できることなら無視したい。
別のクラスということもあり、学校ではまったく話さない。つかそもそも片瀬とは柊抜きで絡んだことがない。
二人きりで喋ったことはあるけれど、あれも柊なくしては実現しなかった。
柊が関与しなくなった現状だと、まず俺と片瀬が顔を向き合わせる機会はない。
時折、廊下ですれ違いはするけども、声をかけることもなければかけられることもない。片瀬のどこか遠慮するような視線がチラチラと送られてくるだけだ。
もう、このまま中途半端な感じでいって最終的になかったことにしちゃえば……いや、それだと柊に示しがつかない。ん? でも柊に示す必要なくないか?
「……………………また同じことを」
俺は深く溜息をはいて、ソファーから立ち上がった。
「外の空気でも吸ってくるか」
気分転換、には恐らくならないだろう。外に出ても結局俺は思いあぐねる。
それでもただじっとしているよりかは、幾ばくかマシだろう。
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どうも、深谷花です。ここまでお読みくださり感謝。
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