第33話 フェアリー・ベル爆誕

 翌朝、俺はエリクシアとサーシャのキスで目を覚ました。

 そんな事を言うと、爆裂魔法の十字砲火を浴びると大腿骨骨折で入院していた翔兄ぃに教えてもらったが、あえてもう一度言おう!

 俺は両の頬に暖かな吐息と柔らかな唇の感触で目覚めた。ドヤぁ!


 「二人ともおはよう」俺はそう言ってエリクシアとサーシャのおでこにキスをした。俺はたまらなくなって、エリクシアの唇にもう一度軽くキスをした。


 するとサーシャが「ムーッ!」と怒って、サーシャも俺の唇にキスをしてきた。オ、オマセチャン!


 それはさておき、目を開けた時から目の前を光の鱗粉がキラキラ舞っているのだが・・・。

 すると目の前に突然1/12サイズのふぃぎゅ・・ゲフンゲフン。15㎝くらいの大きさの妖精が、ピンクゴールドの長髪を右手でかき上げて萌えポーズを取っていた。


 「初めまして、マスター。私はベルちゃんだよ。アバターが出来たので、早くマスターに見せたくて、ずっと起きるの待ってたんだよ。」


 イヤ、もう萌えポーズを取りながら話さなくてもいいから!口調も違うし!クールなベルちゃんはどこ行ったんだ!


 「さ、さ、サーシャ!こ、これが見えるか?」俺はヒラヒラ飛んでいる妖精を指さして尋ねた。


 「はい、見えますよ。」「ええ、妖精さんですね。」女性陣二人の反応はいたって普通だった。


 「え――――っ!ベルちゃんってプログラムの世界の住人だと思ってたんで、ベルちゃんの欲しがるアバターって2Dや3Dのデジタル世界のアバターだと思ってたよ!

 受肉しちゃったの!こういうのバビにk・・ブヘッ!」


 「違うから!」俺の顔面にベルちゃんキックが炸裂した。


 「私の本体は今もユグドラシルと共にあるけど、マスターの許可を得てこの肉体を作って、私のほんの一欠けらをインストールしたのよ。

 それより、どう?マスターの理想の女性そのままでしょ?」またまた萌えポーズで俺に迫って来る。


 「イヤ、ベルちゃん程の高性能な存在が全力で分析した結果がだとは、正直ガッカリだよ!

 そのは何だよ!洗濯板の方がまだ凹凸があるわっ!

 胸はどうした!胸は!オ・ッ・パ・イはどこに置いてきた!」


 「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ!ギャー!」今度は俺がベルちゃんにデコピンしてやった。そのネタ好きだけど、大好きだけど、こればかりは黙っておれない!


 「違うんだ!飾りなんかじゃないんだよ!ロマン、ロマンが詰まってんだよ!オッパイにはー!」


 「何言ちゃってるんですか!マスターがときめいたリアルな女性六十四人。及びオカズにした女性百七十八人のオッパイを解析しましたが、結果は大小様々で傾向なんて分析できませんでしたよ!

 それに何ですか、マスターが入院後7年6ヶ月目の月に、仲良くなった翔兄ぃさんに言った言葉、忘れたとは言わせませんよ!『おっきいオッパイも、ちいさいオッパイも、みんな違って、みんな良い!』それって、オッパイさえあればそれで良いってことじゃないですか!

 だったらこれで充分です!さあ、心の目で私のオッパイを堪能してください!さあ!さあ!」


 ベルちゃんがグイグイとツルペタな胸を突き出してくる。


 「・・・ごめんなさい。確かに言いました・・・。」


 「「トーマ様」」サーシャとエリクシアが自分のオッパイを押さえながら、憐れむ目で俺を見ながらそう言った。ああっ、その眼差し・・・


 「もう、かんにんしてつかーさい・・・」俺はマットに崩れ落ちた。


―――――


 俺が立ち直るまで、今回はエリクシアが膝枕をしてくれてた。サーシャがこうやると早く復活するってエリクシアに教えてな。

サーシャめ、余計な事を・・・・GJです。


 「復――活!、さっ、みんな、朝ご飯にしよ!」俺はさっきのやり取りを脳内からデリートした。


 俺は素早く迷彩服を着こんで、高機動車から外に出て、キャンピングテーブルとチェアーを取り出してセットした。


 そして、ア〇ゾンとファミマから朝食を購入した。


 ・カルビー フルグラ 1000g 10 P×1個

 ・ファミマの牛乳 1000ml 2 P×1個

 ・もっちパン(2種のチーズ) 1P×3個

 ・グリルサラダチキン 1 P×4個


 合計: 19ポイント

 功績ポイント: 3,988 →3,969 ポイント


 俺は*マークの皿とボールにそれぞれパンとチキンとフルグラを用意して朝食にした。もちろんフルグラにミルクはたっぷりとだ。


 「ねえ、ベルちゃんは食事食べられるの?」と尋ねると、俺の食器を覗き込みながらベルちゃんが答えた。


 「栄養補給としての食事は取らないわ。でも、趣味趣向としての接種は望むところよ!ねえ、マスター。これ食べてもいい?」


 「じゃ、食べようか。いただきます。」


 「いただきます!」「えっ、えっ??」エリクシアがキョロキョロしている。


 「エリクシアさんや。我が家のルールその・・」「一つ、みんなで一緒に食べる事。二つ、食事は美味しく食べる事。三つ、子供は遠慮しないでお腹いっぱい食べる事。です!」


 サーシャが以前俺が語ったルールを覚えていて、エリクシアに説明してくれた。胸を大きく反らせて良い子狼のポーズだな。


 「そう、そして食べる前には全てに感謝して・・」「いただきます!」


 「そうだね、サーシャありがとう。

 俺の故郷では、食事を取る前に『いただきます』と言ってから食べるんだ。これは神様や自然や全てのものに感謝を捧げて、美味しく食べる為のあいさつなんだ。だから、エリクシアも言ってごらん。」


 「はい、トーマ様。いただきます!」


 「うん、神はさておき、自然や全てのものに感謝してっていうのが気に入ったわね。私もいただきます!」


 みんなで『いただきます』して、食事を始めた。

 みんなシリアルは初めてだったので、興味津々で食べたけど、このおいしさに皆大満足だった。


 「ンフ――――!フォイヒイエス!」「ふふ、本当ね。トーマ様おいしいです。」サーシャはキャンピングチェアから後ろに垂らした尻尾をブンブン振り回しているし、エリクシアは柔らかな黄金の微笑みを浮かべている。

 二人の美少女に囲まれて取る朝食って最高だね!


 ベルちゃんはフルグラを両手で持ち上げて「フガフガ」噛り付いてたよ。時々俺の牛乳に、齧りかけのフルグラ突っ込んで浸しながらね。


 やっぱ、ベルちゃん、1/12サイズは間違いだったんじゃないの?


―――――


 俺達はゆっくり朝食を楽しんだ後、装備を整えて出発した。

 一路黒き森を目指して。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る